まりぃくりすてぃ

デデの愛のまりぃくりすてぃのレビュー・感想・評価

デデの愛(2017年製作の映画)
4.4
内容的に大作! これは岩波ホールジョージア映画祭前半の天王山。
“世界映画の良心”ジョージア物ばかり観てると、3要素が癖になっちゃってヤバい。
❶ 因習から受ける苦しみ
❷ 戦争の傷と重み
❸ 美男美女

さて、美貌ヒロインのキャスティングはまったくいつものことだが、本作ではゲギ役イケメン(の表情演技)がすっごく効いてる。で、前半だけで終了したとしても余裕で秀作確定の感じ。
その、カクテイ後の、つかのまの幸福場面──柿色の魔法!──がまるでマッターホルン似(槍ヶ岳以上)のカツーンと尖った頂上みたく映像的にも幸(さち)マックスで、観ていて「え、このモードでまったり行くの? 続けるんなら、悲劇がもうちょい欲しいんですけど」と罰当たりな予感を温めた矢先に、前半以上のえげつなさで劇(はげ)しさが走りだす。ついに出ちゃった誘拐婚の実相とか。正視できないほど。や・め・て。。。

すぐに暴力や威圧に頼る自分勝手なキチガイ男たちは、滅べ。としか後半全体通して思わず。鑑賞後感きわめて悪し。一切パワーをくれないキリスト教の標語(神の赦しとかアーメンとか)をはじめ、世紀にかかわらず全世界がずっとデタラメであることを美しい景色とともにおごそかに示唆しまくる内容。
原題直訳が「母」であることからいっても、この映画の中にまともな情は息子とディナ(ヒロイン)との間にしか結局なかった。薬持ってきてくれたぐらいじゃ観客の心は男を受け入れない。にしても、ディナ役の女優さんの肌、白すぎじゃない??
人類普遍のアホデタラメと闘う「ジョージア映画+ホドロフスキー」、これこそが2018年今日この頃の私たちにとって律儀に真剣に確実に必要なテキスト!



ちなみに、書こうかどうか迷ったが、、、
この映画終了直後、私の遠くで何やら男性二人の言い争いが湧いた。前後関係聞こえなかったが、どうやら(飲食禁止のホールなのに)上映中に音立てて食事したことを咎められてたみたいだった。そして咎められた者は「うるせえ!」とか「ギャー!」とか逆ギレしてた。何者だろう、とそっちへ私が顔向けた頃には騒ぎも終わってて人もあらかたいなくなってて年格好も何もわからずじまいだったけど、その男、いったい97分間でこの映画から何を学んだんだろう。そもそも何しに来たんだろう。日本でのたった数回の上映機会にこんなこと起こったって監督さんが知ったら必ず悲しむよ。成長してください。