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少年スサのmingoのレビュー・感想・評価

少年スサ(2010年製作の映画)
4.0
家族のために貧しいスラム街でウォッカの密売を手伝うある一人の少年の日々を描いた本作だが淡々と魅せるシンプルな演出はグルジア版ダルデンヌ兄弟。上納金を不良少年たちに毎度きちんと納め、帰ってきた父親に希望を見出すが車のおもちゃが欲しかったわけじゃない、今の過酷な生活状況をなんとかしたいだけ、美しいお顔に澄み切った瞳の真っ直ぐな眼差しが痛烈に伝わる。つまり元同僚の青年と石蹴りをして普通に遊びたいだけだし、自作の万華鏡をくるくる回しキラキラした世界を覗き込むだけで少年は満足なのだ。ラストでスサが少年2人からリンチに合うシーンではポーランド映画の最悪の一本「プレイグラウンド」を想起させられたがちゃんと脱出できて心底安心した、、、そして密売所のボスへグーパンで立ち向かう術しか持たない無力さは問題提起の装置として鑑賞者に突きつけるのである。理不尽な大人たちと閉塞した社会への少年の怒りがただただ胸を打つ傑作。
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