まりぃくりすてぃ

微笑んでのまりぃくりすてぃのレビュー・感想・評価

微笑んで(2012年製作の映画)
3.1
「ハゲのくせに威張るな!」
「あんたみたいなハゲジジイに指図されたくない!」
「水着になれっていうあんたが率先してヤバイの着ろ。このハゲ!」
「ハーゲーッ!!」
───そういうセリフが一つも出なくて、イライラメラメラ。
“雑然=整然” であるような完全コントロールを当然狙ったシナリオだろうが、描かれる低俗テレビ番組に映画そのものもチョッピリ汚染されちゃってる、かも。だからこそハゲのディレクターを罵倒してほしかったなぁ。
例えばチェコスロバキアの成功作『火事だよカワイ子ちゃん』は、ミスコン映画の定番展開である「ドタバタ」をほどよいユーモアでチクチク飾っていって、最後らへんの「異次元突入の大まとめ」がどっちかっていうと観てて嬉しかった。
対して本作は、まったく笑えないように作られてる趣旨こそ納得できるけど、、、まるでストライクじゃない高すぎ低すぎ横すぎばかりを「ほら、球筋見ろ、見ろ」と放られつづけてるみたいな、、あるいは生理ナプキンがズレてるのに「文句言うな」と言いくるめられてただコワイ顔する自由だけをあてがわれてるみたいな、、、、ヘンな感じ。
(この文章と違って 笑)不真面目になろうと思ってもけっして不真面目になれないのが、きっとジョージア映画の特質。その象徴が、鶏ガラ女のグァンツァ。ミスコン(正確にはママコン)なんかに最も出なさそうなこういうキャラを実質的な主役に据えてることで、ヘン感すべてが監督の狙い通りなんだとわかるけど、それならそれで、ジョークなんかじゃなく「ハゲ! ハゲ!! ハゲ!!!」をガチで連叫してくんなきゃバランスとれないってば、やっぱり。
そしてね、ほかの誰かじゃなく血みどろの死体こそが優勝ステージに一番先に駆けつけてほしかった。
とにもかくにも、ラストカットの宙吊りお二人組、秀逸。

〈人物ミニメモ〉
・料理未亡人インガ
・セレブ感のバイア
・いかにも視聴者投票1位なエレナ
・冴えないイリナ、の息子のトルニケがう・つ・く・し・い。。。。

[岩波 ジョージア映画祭]