まりぃくりすてぃ

あぶない母さんのまりぃくりすてぃのレビュー・感想・評価

あぶない母さん(2017年製作の映画)
1.9
視覚的にイケてたし、読み上げられた小説の断章もナカナカだった。
なのに、いつしか、まどろっこしい映画になってた。劇伴ナシはべつにいいんだけど、メリハリも緩急もなさすぎる。
編集だけ下手なんだ、と好意的に解釈しようとした。そうじゃなかった。羽ばたいてないんだ!

映画は、“蝶”であるべき。“美しい蛾”でもまあいいし、“蝉”や“トンボ”や“カマキリ”や場合によっては“ゴキブリ”でもいいのかもしれないけど、いずれにせよ羽化した者としての強さと運動性をきちんと持っててほしい。
本作は、まるで芋虫か毛虫よ。毛虫なら毛虫で、色彩をはじめ姿形が褒めの対象にはそりゃなるけど、幼虫だから、ひたすらに歩みがのろい。いっそ蛹(さなぎ)? 真の鑑賞にはあたらないこんな脚本内容は40分ぐらいで終わらせ、その後に大展開を用意すべきだったんだよ。そこんところの至らなさ(商品全体包み込めてなさ)が、メリハリのなさの正体。
演出先行だったりもしたね。
Why red?
Why mirror?
Why 裸?

母以外の、そこそこ魅力的なはずの家族四人(特に目の訴える力が大の娘ちゃん)がことごとく捨てキャラになっちゃってモッタイナイ。
その一方、悪目立ちの祖父さんが最後に「画で語り尽くすはずだったセンスフル路線映画をぶち壊す形で、言葉で説明しまくる」。祖父さん役を頑張ったマハラゼさんは母役を喰うぐらいに素晴らしいのはわかるけど、その説明箇所で本作は「反則負け」。フェアにジャッジすればこうなる。

次はもっと頑張ってね!

[岩波ホール ジョージア映画祭  myクロージング作 パチパチパチパチ……]