湯呑

THE GUILTY/ギルティの湯呑のレビュー・感想・評価

THE GUILTY/ギルティ(2018年製作の映画)
4.6
よくできた短篇ミステリーの様な映画だ。
まず謎めいた序盤で読者を引き込み、中盤はサスペンスフルな展開で飽きさせない。ラストにどんでん返しで驚かせてくれ、そして(ここが最も重要なのだが)、全ての謎が解けた後で作品のテーマが浮かび上がってくる。これが、優れた短篇ミステリーの条件だと、個人的に思っている。
本作が以上の条件を備えている事は、映画をご覧になられた方にはお分かりだろう。では、最後の条件、全ての謎が解き明かされた後に浮かび上がってくるテーマとは何だろうか。ひとつは、タイトルに示されている通り「罪」、もうひとつは「救い」である。この作品で罪を犯したのはいったい誰なのか。この問いに対し、本作は2重3重の答えを用意している。ネタバレになるので詳しくは書けないが、その多層的な罪の迷宮の中で、自らの罪を認めた者だけが他者を救う事ができる。「救い」を求める電話で幕を開けた映画は、やはり「救い」を求める電話で終わる。果たして、電話の向こうの相手は、罪びとを救う事ができるのだろうか。
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