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⼗年 Ten Years Japanのnanaのレビュー・感想・評価

⼗年 Ten Years Japan(2018年製作の映画)
3.4

是枝裕和プロジェクト

5人の監督による5つのオムニバス映画。
是枝裕和監督総合監修。

10年後の日本を舞台に現在懸念される問題を描いている。
高齢化社会·原発·AI…
もしかして…そんな作品たち。

·PLAN75
安楽死を選べたら?
75歳以上の安楽死を国が推奨するように。
貧しい老人を積極的に安楽死プランに公務員が勧誘する。
尊厳。お金も無いし…。
自分で死を選べる時代に。
「その時が近づいたら冷静でいられなくなる人がいる」そのための精神安定剤。
いざとなったら人ってそんなに簡単に死ねないものか。
体育館のような場所での説明が無機質で合理的。職員の笑顔との対比で観る側の違和感を煽る。


·いたずら同盟
苦しまない世界。
人工知能システムの効率的な将来予想での教育で人は幸せになれるのか?
自分の意志をもった少年達が疑問を抱き、行動をおこす。
國村隼さんの演技が印象的。
プログラムで育っても、「死」が琴線に触れる少年達は純粋さが残っている。


·DATA
母を亡くした女子高生が生前のデータ・デジタル遺産から母の実像を感じ、歓喜するが意外な母の一面を知る。
杉咲花の食事シーンがいい。
「血の通った」ストーリーになっている。
温かみがある。
5話の中で一番ほっと出来る。
ヒロインの笑顔。かわいい。
父親役の田中哲二もほっこりさせる。


·その空気は見えない
大気汚染により、地下生活を余儀なくされる日本。
太陽のない生活。
ヒロインは友人の失踪をきっかけに生活に疑問を持ち、地上に憧れを持つ。
知らない世界を知りたい。
こんな陰鬱な世界·絶対嫌だ。
全体に暗い。


·美しい国
自衛隊徴兵制が義務化。
告知キャンペーンを請け負った広告代理店のサラリーマンと、ブルーカラーの人達。
立場が違えば見える景色が違う。
こめられたメッセージ。
ハッとさせられる展開と仲野太賀の演技が良い。


重苦しいテーマだが、オムニバスなのでサラッと観れる。
PLAN75のインパクトが強い方が多いそう。
子供の成長と最後の死・環境。
どの作品も感慨深い。



問題提起とSF
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