どど丼

⼗年 Ten Years Japanのどど丼のレビュー・感想・評価

⼗年 Ten Years Japan(2018年製作の映画)
3.6
近未来の日本を描くオムニバス短編映画集。「PLAN75」の出所という事で鑑賞。

「PLAN75」長編版はここまで低所得者狙い撃ちではなかったような。移民問題が省かれていてシンプルにまとまってるけど、世界観の描写に終始しているので、やっぱり長編で観れて良かった。

「いたずら同盟」AIが子供たちに教鞭をとり、監視する社会。AIの脅威と監視社会、僅かな自由への希望。ベタっちゃベタだけど、無邪気で自由を追求する子供たちの姿は、どんな状況下でも美しい。

「DATA」デジタル遺産相続システムを使って母の記憶を巡る。死後のプライバシー問題、、本人には知る由がなかったとしても、存命の周囲にとっては問題だし、けれど記憶がモノとして残る事は良い面でもあるし……でモヤるのが良い。

「その空気は見えない」近未来、何かに汚染され、シェルター生活を送る少女の話。ハリウッドのディストピア作品じゃよく観るけど、日本ではあまり無い気がするので新鮮。そこで終わらせちゃうと何も見えないしベタすぎるかな……。

「美しい国」徴兵制が導入され、不安定な世情の中で軍国化が進む日本。一番期待していた分、思っていたのと違ったのは少々肩透かしも、アプローチとして行き着いた先に唸る。ラストで突然ハッとさせられ、振り返ればそれまでのストーリーも"美しい国"日本に内在する不穏な空気感を如実に表していたように感じる。石川慶監督なのでルックがダントツ綺麗。
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