ハリ

影踏みのハリのネタバレレビュー・内容・結末

影踏み(2019年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

空き巣では無く深夜に盗みを繰り返す“ノビカベ“と呼ばれた窃盗犯の真壁。ある夜に盗みに入った先で女性の心中現場を目撃し、食い止めるが先回りされた警察に捕まる。出所後、なぜ警察に居場所がバレていたのか?あの女性は?の疑念に囚われ真実を追求しようとする。

逮捕される当日忍び込んだ家に何故警察官が居たのか、家に火をつけようとした女性はどうなったのか、それらの謎を解く為に独自に操作を開始する。が、自分を逮捕した警察官が何者かに殺害され、そこから自分を含めた登場人物達の裏のルートが徐々に明かされる事になる。

人生の成功者のレールを走っていた真壁がなぜ窃盗犯に成り下がったのかが徐々に紐解かれて行き、その最中に双子の弟の存在が明かされる。出所後に自分を慕う弟分のような人物が登場するが、その人物こそ真壁自身が頭の中で作り出した虚構の弟であった。
弟の幻影を追い求め、まさに“弟の影を踏んだ“人生を歩んでしまっていた。

裏社会の繋がりをテーマにしていると見せかけて“双子“の人生での在り方が軸になっている。
正に表裏一体で良くも悪くも引っ張り引っ張られる存在である双子の兄弟。
作中二組の双子が登場するが、一人の過ちを背負う事を自分自身に半ば強制的に運命として決めつけているかのような姿が印象。

ラストでは決めつけてしまっていた運命から脱却しようとした真壁と、兄弟のせいにして逃げ続けたもう一組の双子である久能が対象的な存在として際立っていたように感じる。

中々に重い映画で、やりたいことがたくさんあるけど纏められなかったんだなーといった感じ。原作小説は面白いんだろうなといった内容だった。
でも、評価ほど悪くは無く寧ろ好みの映画だった。
個人的評価:良作
ハリ

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