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ヘレディタリー/継承のYYamadaのレビュー・感想・評価

ヘレディタリー/継承(2018年製作の映画)
3.9
【ホラー映画のススメ】
◆作品名:
ヘレディタリー/継承 (2018)
◆映倫区分 / 日本 : PG12
◆ホラーの要素
 非人間的な何かが視聴者の恐怖を煽る
◆恐怖レベル
 精神的恐怖 ★★★★☆
 肉体的恐怖 ★★★☆☆
 知識的恐怖 ★★★★★

〈本作の粗筋〉 eiga.comより抜粋
・祖母エレンが亡くなったグラハム家。過去のある出来事により、母に対して愛憎交じりの感情を持ってた娘のアニーも、夫、2人の子どもたちとともに淡々と葬儀を執り行った。
・祖母が亡くなった喪失感を乗り越えようとするグラハム家に奇妙な出来事が頻発。最悪な事態に陥った一家は修復不能なまでに崩壊してしまうが、亡くなったエレンの遺品が収められた箱に「私を憎まないで」と書かれたメモが挟まれていた…。

〈見処〉
①完璧な悪夢——「 A24」が贈る
「21世紀最高のホラー映画」
・『ヘレディタリー/継承』(原題:Hereditary=「遺伝性」)は、2018年に製作されたホラー映画。『ムーンライト』『レディ・バード』など次々に話題作を発表する新興の映画スタジオ 「A24」が製作。
・家長である祖母の死をきっかけに、さまざまな恐怖に見舞われる一家を描いた本作は、のちに『ミッドサマー』(2019)にて、大いなる賛否両論を受けたアリ・アスターの長編映画監督デビュー作。
・出演は『リトル・ミス・サンシャイン』のトニ・コレットがアニー役、夫役を『ユージュアル・サスペクツ』ガブリエル・バーン、息子役を『ジュマンジ』シリーズのアレックス・ウルフが演じている。
・本作は2018年のサンダンス映画祭でプレミア上映された直後から「ホラーの常識を覆した最高傑作」「直近50年のホラー映画の中の最高傑作」「21世紀最高のホラー映画」「現代ホラーの頂点」と絶賛された。
・日本では、2018年12月にTOHOシネマズ新宿で本作の絶叫上映(応援上映の一種)が開催されたが「叫ぶ気満々で来たのに怖すぎて絶句してしまった」「映画の恐ろしさに叫ぶどころでは無かった」と、叫び声がラスト付近まで一切上がらなかったそうだ。

②結び…本作の見処は?
◎:「葬儀の参列者」「小鳥の首」「スクリーンをよぎる光」「弟の自殺」「電柱に記される謎の紋章」……小さな違和感の積み重ねが、ラストの恐怖の伏線となる計算し尽された脚本は、本作が監督・脚本家デビュー作とは思えないほどの異常な完成度。『ミッドサマー』で騒然とさせたアリ・アスターの異常性は、本作で示されている。
◎:「恐怖音」 や「鮮血」に頼らずに、内面的な精神的恐怖を助長させる、正統派ホラー。終盤のトニ・コレットの狂乱の演技は、身の毛のたつほど恐ろしい。
○: 欧米版「こっくりさん」の降霊術「チャーリーゲーム」にも注目。
○: エンドロールで流れてるのは『CODA あいのうた』(2021)で注目を浴びている、ジョニ・ミッチェルの「青春の光と影」をジュディ・コリンズがカバーしたもの。「
本当は人生のことなんか全然知らない」の歌詞を持つ名曲が、感動大作と最恐ホラーの両方で取り上げられているのは興味深い。
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