今まで怖くて観られていなかった本作をとうとう鑑賞。
いや誰や、この企画通したん!
これでLASTと言える胆力がスゴイ。
北野武でさえ照れ隠しで金髪でふざけてみたのに。
いや、でも映画のルックというか美術や撮影は悪く無いと思いますよ。
役者陣も豪華ですし。
何が悪いかというと完全に脚本と演出。
裏社会で生きていた男が愛を知りそれを失って武器を置いて……という凡百なストーリーなのに変な時制シャッフルを入れるから全然頭に入ってこない。
最愛の女が開幕5分であっさり死ぬので市の絶望と諦観に全く感情移入できません。
そのため早よ悪者倒せやと余計なイライラが募ります。
それならそれで溜めに溜めたストレスを最後の大活劇で超絶なカタルシスを感じさせてくれれば良いのに途中途中にチョイチョイ怒りに耐えかねて刀を抜くので微妙なテンションになってしまいました。
指とか手は千切れるのに血は出ないという謎のバランスの描写に呆れました。
今確認したら脚本の山岸きくみってあの「カンフーくん」の原案で「サムライマラソン」の脚本なんですね……
役者陣も豪華なんですが壊滅的に合っていない役の役者が何人かいます。
気弱な代貸しの岩城滉一もアレですが百姓・反町隆史をキャスティングした人は何を考えていたのでしょう。
壊滅的に合っていません。
仲代達也もチョットこれねえ、現場でダメ出しとかできなかったのかなぁ。
まあしかしなんと言っても香取慎吾ですよ。
間違いなくシリーズ最弱の座頭市です。
雪の坂道ゴロゴロ→足を木の枝でザクッ、のシーンは完全にギャグです。
これはリアル思考というのかとにかく香取くんがモタモタしています。いろんなところに引っかかったりつまずいたり、刀を納刀する時にモタモタしているのは擁護できませんが。
逆説的に勝新の運動能力と殺陣の能力の高さが再確認できました。
エンディングもなんじゃそりゃという噴飯物でしたが、その後に続く真EDの恐怖に比べれば大したことはありません。
え?これって劇場で流れたん?
レンタルDVDだけ?
そうだと信じたい……