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トゥルー・ロマンスのYYamadaのレビュー・感想・評価

トゥルー・ロマンス(1993年製作の映画)
3.7
【ロードムービーのススメ】
   ~旅を通じて人生を紡ぐ~

◆旅の目的
 ドラッグ取引、ハネムーン
◆旅の工程
 デトロイト→ロサンゼルス

〈見処〉
①いま見ると豪華俳優陣!93'の傑作
・『トゥルー・ロマンス』は1993年に公開されたクライム映画。爽快なテンポで描かれ、アクション・バイオレンスとラブ・ロマンスが絶妙な傑作である。
・舞台は現代のデトロイト。ある夜、コミック・ショップで働くクラレンス(クリスチャン・スレーター)とコール・ガールのアラバマ(パトリシア・アークエット)は、熱烈な恋に落ち、翌日に結婚。
・クラレンスはアラバマを自由の身とするため、元締めを殺害するが、彼女の荷物と間違えて大量のコカインを盗んでしまう。
・大量のコカインを売りさばき、新婚費用に当てたい2人はロサンゼルスに向かうが、イタリアン・マフィアや、ハリウッドの悪徳プロデューサー、警察も複雑に絡む犯罪模様が展開される…
・本作の見処の一つが今は名だたる多数のハリウッドスターが、ブレイク前後に出演していること。

◆クリスチャン・スレーター
当時24歳。翌年に『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』
◆ヴァル・キルマー
当時34歳。次作が『バットマン フォーエヴァー』
◆ゲーリー・オールドマン
当時35歳。翌年に『レオン』
◆ブラッド・ピット
当時30歳。翌年に『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』
◆サミュエル・L・ジャクソン
当時45歳。同年に『ジュラシック・パーク』、翌年に『パルプ・フィクション』

・また、大物俳優のデニス・ホッパーvsクリストファー・ウォーケンによる、生死をかけた応答シーン。一部アドリブであるそうだが、素晴らしい演技が見れる。

②トニー・スコットとタランティーノ
・本作の監督、トニー・スコットは当時49歳。既に『トップガン』 ( 1986)、
『ビバリーヒルズ・コップ2』 (1987)、『
デイズ・オブ・サンダー』(1990)と兄リドリー・スコットよりも、ヒット作を量産するトニー・スコットにとって、製作費12.5百万ドルの本作は小規模の部類にあたる。
・それでも、売れっ子のトニー・スコットが監督を引き受けたのは、クエンティン・タランティーノの脚本に興味を示したため。
・タランティーノは本作の脚本の権利を売り『レザボア・ドッグス』(1992)にて、本作公開前に監督デビューを果たしており、既に映画業界内の注目を浴びる存在。コミックショップの店員の設定など、タランティーノにとって、本作は「最も自伝的な作品」となっている。
・作中には、千葉真一『激突! 殺人拳』を観るシーンや『東京-ソウル-バンコック 実録麻薬地帯』のポスター、やたらと映画から引用するセリフやバイオレンスな登場人物たちなど、タランティーノによる作風は本作でも確認出来る。
・なお、タランティーノの脚本はバッドエンドの設定だったが、トニー・スコットの意向により、急遽脚本は変更。
・このためタランティーノはヘソを曲げ、脚本の権利を返却させようとしたが、クリスチャン・スレーターがタランティーノに直談判し、渋々了承させたそうだ。万人に愛されるクラレンスとアラバマがどのようなラストとなるのか、トニー・スコット流エンディングはしっかり見届けたい。

③結び…本作の見処は?
○: 非常にキュートなパトリシア・アークエットとクラレンスの関係はまさに『真実の純愛』
○: レジェンド俳優のブレイク前出演は見逃せない
○: ホントにアドリブ?デニス・ホッパーvsクリストファー・ウォーケンの演技対決
○: 千葉真一!タランティーノによるオタク映画に関する描写やセリフの数々
▲: 本作はロードムービーに分類されるが、旅路のシーンは、公衆電話の場面のみ。ただの犯罪映画では…
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