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黙秘のlemonのレビュー・感想・評価

黙秘(1995年製作の映画)
3.6
現在と過去の回想シーンを交錯させながら進んでいくミステリーかつヒューマンドラマ。

順番どおりに語ったら何てことない話だが、時系列をシャッフルすることでサスペンスにしてしまう。

どんでん返しがあるのかと思ったらそのままで、ドロレスは只々優しい人。

皆既日食の時に主人を見殺しにし、美しい瞬間にも人は死んでるんだなと思った。

アメリカでも家族の仲が良くない事もあるんだなと、自分の母と重ね合わせた。
第三者として見るぶんにはドロレスはすごく優しいと感じたが、実際に自分の立場になったら鬱陶しく感じるのかな。

ここからストーリー。
舞台はメイン州の小島リトルトールアイランド。
ニューヨークで新聞記者をしているセリーナのもとに、ある日、一通のファックスが届きます。それは、故郷の母親ドロレスが、殺人容疑で逮捕されたという知らせでした。

ドロレスは22年間メイドとして仕えていた富豪の未亡人ヴェラを、階段から突き落として殺したと言うのです。18年前、ドロレスの夫ジャックは、家の庭の井戸に落ちて死亡していました。夫殺しの容疑をかけられたドロレスでしたが、証拠不十分で不起訴となり、その事件を担当したのも、またマッケイ警部だったのです。彼は今でもドロレスが夫を殺したと考えており、再び起きた殺人事件に、今度こそドロレスを逮捕できると息巻いていました。

父親を亡くして以来、母親と疎遠だったセリーナ。そんなセリーナにドロレスは、ジャックがどれほど暴力的な夫だったかを聞かせます。父親を愛していたセリーナは「思い出をぶち壊されたわ」と、母親に怒りをぶつけます。

ドロレスは「今も昔も私にとって、お前の安全だけが重要なのよ」と話すが、性的虐待を受けていた記憶が抜けているセリーナにはそんな話は到底信じることなどできません。

セリーナが13才の頃、ジャックが実の娘に性的いたずらをしていることを知り、セリーナの為に貯金していたお金で島から逃げようと考えます。ところが貯金すらジャックが手にかけていました。この事をヴェラに打ち明けると「この世は男の世界よ。だから夫は事故で死ぬ。事故は、不幸な女の親友になるのよ」。と夫を殺害したことを匂わせる。

その日は皆既日食でした。ヴェラは、ドロレスを家へ帰します。「苦難を乗り切るには、性悪女になりなさい」と言うベラの言葉に従い、ドロレスはジャックを罠にかけます。皆既日食で辺りが暗闇に包まれた一瞬。庭にある大きな井戸の穴に、ジャックを誘導して落としたのでした。

セリーナは裁判を前にニューヨークへ島を出て行きます。ドロレスは車内にテープを残していました。ジャックの事件の事が話されていました。フェリーに乗っていると昔の記憶を思い出します。父親に性的虐待を受けていた抜けた記憶が蘇ります。

再び島へ戻り母を助けに行きます。マッケイ警部が書いた報告書が不完全であることを指摘し、母親の無実を断固主張します。そして、マッケイ警部が18年前の事件をまだ根にもっていることを暴露し、完全に立場が逆転したマッケイ警部はその場で黙り込みます。審問は、決定的な証拠がないという結論に達し、事件は終わったのです。

セリーナがニューヨークへ戻る日が来ました。「全て私のためだったのね」。そう言って、娘は母親を抱きしめました。
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