ごろちん

祈りのごろちんのレビュー・感想・評価

祈り(1967年製作の映画)
4.2
観たかったテンギズ・アブラゼ監督の祈り三部作を鑑賞。眼福でした!

モノクロームの美しさ。過去にモノクロの映像に惹き付けられた作品は何作かあるけど、この作品も冒頭から美しい。と、それだけではなくて、白と黒の単色を活かして善と悪の二元的な世界観がコントラスト強めに描かれていました。

この善と悪の心は寛容不寛容に置き換えられて、キリスト教徒とイスラム教徒の村同士の対立から村人のある行為に対して赦す、赦さないへと発展、人が持つ高潔さと、他者を受け入れらない狭量さがせめぎ合う様子に「汝の隣人を愛せよ」を実践していくことの難しさを思い知らされます。

冒頭に出てくる言葉「人の美しき本性が滅びることはない」は、善の心は聖女のようにか弱いものの、その灯火は消えることなく必ず復活するはず、というアブラゼ監督の祈りにも似た悲愴な想いを感じました。

岩波ホールでの鑑賞は1年半ぶりでした。場内はほぼ満席。うーん、なくなってしまうのはやっぱり惜しい…。閉館するまであと数回は行こうと思います。
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