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サイコノータス 忘れられたこどもたちのizuのレビュー・感想・評価

4.1
「ユニコーン・ウォーズ」のアルベルト・バスケス監督初長編。

放射能事故で廃坑したある島。この閉塞された空間からの脱出を試みる子供たちのお話。

パッと見子供向けな可愛げのある絵柄からは想像もつかないほどダークでファンタジーな世界観。

白いネズミの少女・ディンキー、水色の毛並みのウサギのサンドラ、小さいキツネの少年(名前出てない)の3人が、島からの脱出を目標にちまちまと小銭を集める。最終的には窃盗までするほどに。

ドラッグ、いじめ、虐待、貧困、病気、親。どうしようもならない問題。
子供は生まれた場所も親も選ぶことはできず、その環境を受け入れるしかない。

この閉塞された空間から出る為には子供だって犯罪を厭わないし、本人達も「やっぱやめとこうよ...」みたいな雰囲気ではなく、わりと仕方の無さそうにやっていた印象。

方や一方、バードマンは島から迫害され、住人にドラッグを密売しているとされ警察から指名手配されている。
このバードマンとディンキーの間には、恋仲とも取れる関係が構築されており、ディンキーはバードマンと共に島の脱出を目標としている模様。

ポップな絵柄からは全く想像もつかないほどダークで大人向けな設定。
一部のキャラクターには己の内に潜む’’何か’’が存在しており、主軸として描かれていたのはサンドラとバードマン。バードマンはドラッグで内なるものを沈め、サンドラは心で耐える。「私達を追い出すことはできない。私達は、いつもあなたと共にいる」というセリフ、そして友達であるはずのキツネの少年を崖から突き落とそうとしてしまったサンドラの行為から、「内なる凶暴性」みたいなものなのかもしれない。

にしてもアルベルト・バスケスのキャラデザ、世界観最高すぎる。ディンキー可愛すぎ。別にケモナーでもないけど終始可愛すぎてそれだけで観る価値があるんじゃないかってレベルで可愛い。我死。

視聴 2024年4月20日
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