Kyle

15時17分、パリ行きのKyleのネタバレレビュー・内容・結末

15時17分、パリ行き(2018年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

・実際に起こったテロ事件を題材とした伝記映画。

・列車内での大量殺戮を試みたテロリストに立ち向かい、奇跡的に乗客全員の命を救った幼馴染の若者3人組が本人出演。作品のリアリティを高めるうえでこの上ない効果を発揮。

・小学生時代の3人の出会いから、成人してそれぞれの道へ歩み出し、ヨーロッパ旅行で再会して事件当日を迎えるまでの彼らの半生が描かれる。

・終盤のテロリストとの戦闘シーンは、直前まで旅行中の3人のリラックスした様子が描写されていたこともあり、却って恐ろしさが増した。万が一自分がテロが遭遇した場合もこんな風に、日常からなんの前触れもなく地獄へと突き落とされるのだろうなと実感。

・旅行シーンは人によっては冗長だとか尺稼ぎだという風に感じられるかもしれない。自分は楽しく観られたが。

・作品全体を通じて、主人公: スペンサーの「誰かのためになりたい」「誰かを救いたい」といった人間性がよく表現されていた。空軍基地で銃撃事件発生のサイレンが鳴った際、他の皆が机の下に伏せる中、教官の指示に背いてまで部屋の入り口付近に立ち、犯人を迎撃しようとしていたシーンからもそれは読み取れる。

・スペンサーは事件発生当時23歳になったばかり。この若者の勇敢さ、責任感の強さは尋常ではない。

・ちなみに、テロリストとのもみ合いで首などを切られたスペンサーであるが、本事件の2ヶ月後にもアメリカで男性グループと喧嘩になり、同行していた女性を庇ってナイフで滅多刺しにされ、重傷を負っている(その後回復)。

・犯人を主に取り押さえたのはスペンサーであったが、アレクやアンソニーとの団結が無ければこのような結果には繋がらなかっただろう。「友情」の持つ力もこの作品のテーマの一つになり得る。幼馴染の親友って素晴らしいよね。

・小学校の頃は劣等生で、いつも母親を憔悴させていたスペンサー、アレクが、遂にはフランス大統領から賞賛され、数々の勲章を授与される。表彰式に出席した彼らの母の表情を見ていると、グッとくるものがある。

・スペンサーは犯人を取り押さえた後、被弾・出血していた男性に応急処置を施し、その命を救ったが、これは軍で応急処置訓練を受けていた(それも、他の誰よりも真摯に)からこそである。このことから、「人生において無駄なことは何もない」「一生懸命頑張って得た経験はいつか必ず生きる」といったメッセージも享受できた。

・自分と同い年である彼らの取った勇敢な行動が、本映画を通じて長く後世に語り継がれてほしい。
Kyle

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