アーリー

ゲティ家の身代金のアーリーのレビュー・感想・評価

ゲティ家の身代金(2017年製作の映画)
3.4
2023.9.14

実話を脚色した作品。ケビン・スペイシー関連のニュースで話題になったのを思い出す。

J・P・ゲティがケチすぎる。終始彼にイライラする作品。ただ自分の信念を持って、自分で稼いで、自分のためにお金を使うのは一人の人間としての生き方なんかなとも思う。自分のためなら家族だろうが二の次。ある種尊敬してしまう部分もある。ただその己の考えを貫き通す男を描きたいあたりはちょっと不充分に感じた。結局彼が求めていたものはなんだったのか。読み取れなかった。

リマ症候群も描かれる。監禁者と人質という関係性が本当に特殊すぎる。何をするにも監禁者の許可がいる状況の中で、当たり前に出来ていたことがその人にさせてもらえるということになり、そこに感謝の気持ちが生まれる。逆に監禁者が人質に同情するケースもある。いかにも人間らしい現象。だからこそ悲しいのは加害者も元は良い人であって、何かがその人を追い詰めそうさせているということ。金持ちが批判されるのは仕方ない。お金がなくて苦しんでいる人のヘイトはそこに集まる。自分で考えてお金を稼げばいいやんという言い分もわかるけど、環境によってはそれも叶わない人たちもいると思う。ギャングになったってお金は手に入るかもしれんけど、真っ当な生活は出来ない。
お金持ちに生まれたというだけでヘイトを集め、しまいには誘拐、監禁され、身体的に攻撃を受ける。加害者は加害者で毎日の生活が苦しくて、自分が生きるための一つの策。確かにお金持ちの子供として生まれたのなら、ある程度の利益は得てるはず。両方苦しくて、悲しい。

何を描きたいのかがはっきりわからず、部分部分には良いものの作品を作品たらしめるテーマや要素が掴めなかった。
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