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征服のmaroのレビュー・感想・評価

征服(1937年製作の映画)
3.5
 ストーリー:★★★☆☆
キャラクター:★★★★☆
    映像:★★★☆☆
    音楽:★★★☆☆

ナポレオン(シャルル・ボワイエ)と愛人のマリー(グレタ・ガルボ)の馴れ初めから別れまでを描いたラブストーリー。
あくまでもラブストーリーなので、歴史の知識がなくても楽しめる映画ではあった。

大学受験のときに世界史を専攻していなかったこともあり、自分はナポレオンに関する知識はほとんどない。
なので、愛人のマリーがいたということ自体、この映画で初めて知ったぐらい(笑)

演じたグレタ・ガルボは公開当時32歳とは思えぬ美しさだったけど、実際のマリーも相当な美人だった様子。
人妻と知りながらもナポレオンはそんなことおかまいなしにメッチャ口説きまくるし、まわりの男性もその美しさに見惚れるほどだったから。

でも、マリー自身はもともとナポレオンにそこまで惹かれていたわけではなさそうで、ポーランドを救うためにナポレオンに口利きするため、いろんな人の要望を受けてほぼ生贄のような形で差し出されたのだ。
とはいえ、物語冒頭でナポレオンに会いたすぎるあまり、こっそり家を抜け出して彼が訪れるであろう場所で出待ちしていた事実はあるんだけどね(笑)
ファン心理で眺める分にはいいけど、いっしょに過ごすとなるとまた別ということなのだろうか。

ナポレオンに差し出されたマリーも、最初は「仕方なく来た感」を出していたんだけど、屈強で強欲に見えたナポレオンが、実は小さい頃はいじめられ、付き合っていた彼女も奪われ、敗北続きだったという過去を知るや否や、急に彼に愛おしさを感じるようになる。
遠い雲の上の存在だと思っていた人に人間らしさを見出してそのギャップにやられたんだろうね(笑)

その後も仲睦まじい生活が続くも、ナポレオンが政治的影響力を強めるため、いろんな貴族の女性と結婚すると言い出してから、ちょっと心が離れたように見える。
そりゃ、いくら男尊女卑の激しい時代で、逆らうことができないとはいえ、自分の愛した男性が他の女性とくっつくと宣言されていい気持ちはしないだろう。
でも、マリーはとても誠実かつ慈しみ深い性格で、それでもナポレオンを愛し続けたというのだからすごい精神力だ。

最後、ナポレオンはマリーからアメリカへの亡命を提案されるも、それを断り、運命を受け入れてイギリスの軍艦に投降していくんだけど、その姿をマリーと息子のアレキサンダーが見つめながら幕を閉じるのは切なかったなあ。

そんなわけで、タイトルから戦争映画かと思いきや、ナポレオンとマリーの関係だけにフォーカスしたラブストーリーだった。
なので、戦闘シーンは一切ない。
そういうところは全部すっ飛ばして、ひたすら2人の関係性にフォーカスしているのでわかりやすい映画ではあったかな。
歴史の勉強にはなるかも。
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