洋画好きのえび

劇場版 夏目友人帳 ~うつせみに結ぶ~の洋画好きのえびのレビュー・感想・評価

3.8
夏休みが始まったからか、子供向けのアニメ映画がTVで流されるようになりましたね。
本作はBS12でやっていたので観賞しました。再来週は河童のクゥを放送するそうです。大好きな作品なのでそちらも楽しみ。

さて、夏目友人帳ですが、こちらは同名の少女漫画が原作です。
妖怪を見たり妖怪と話をしたりすることができる能力を持つ主人公の夏目貴志が、貴志と同じ能力を持っていた祖母レイコから友人帳(友人帳の所有者は、友人帳に名前の書かれた妖怪を支配することができる)を相続することから物語は始まります。
特殊な能力故に人間から距離を置かれていたレイコは、「自分との勝負に負けたら友人帳に名前をかけ」と妖怪たちに喧嘩をふっかけてはその強力な妖力で勝利を収めていたのでした。しかし、月日が経ちレイコは亡くなり、友人帳に名前の書かれた妖怪たちが、自由を取り戻すために名前を返してもらうよう貴志のもとを訪れるようになります。中には、友人帳の能力を魅力に感じて貴志を襲ってくる悪どい妖怪も…
そんな妖怪達と、成り行き上貴志のボディーガード(?)となった妖怪ニャンコ先生、貴志の友人達(人間・妖怪含む)との日々を描いたほのぼの要素あり、しんみり要素ありの穏やかなテイストの作品です。

原作はずっと読んでいるのですが、アニメは未見でした。アニメ、良いですね〜。原作の穏やかで静かな雰囲気がとても良く反映されていました。夏目友人帳は妖怪ものなのですがあまり怖くなく、むしろ、人と妖怪の交わり、人・妖怪関係なく登場人物の心の機微を丁寧に描いたヒューマンドラマチックな作品なので、見ていて心が癒されます。本作は原作には無いオリジナルストーリーですが、原作のテイストそのものの非常に良質な物語でした。
あと、ニャンコ先生がめちゃくちゃかわいいですね。なんだあのちびニャンコ先生ズは。プリチーが過ぎるぞ。演じているのはジョジョのカーズ様と同じ井上和彦さんなんですよね…声が可愛すぎないか。そしてカッコ良すぎないか。

ストーリーが難解だったり、命のやり取りのある激しいバトルものも大好きですが、夏目友人帳のような穏やかな作品も大好きなので、今後も原作・アニメ共々長く続いていって欲しいなぁと思います。

ここで映画とは関係ありませんが、夏目友人帳が好きな方におすすめの妖怪系漫画を2つ紹介させてください。
1.『百鬼夜行抄』作:今市子
妖怪を見る力を持った青年飯島律が、妖怪とのトラブルに巻き込まれる日々を描いた作品です。こちらは、夏目友人帳よりもドロドロした物語が多く、怖いです。妖怪は基本的に理解し難い恐ろしいものとして描かれていますし、人間もヤバいヤツがたくさん出てきます。日々の暮らしというよりも民俗学にフォーカスした作品になっていますね。怖い系もイケる!という方は是非。なお、本作のマスコットキャラクターは文鳥の妖怪の「尾白」と「尾黒」です。
2.『雨柳堂夢噺』作:波津彬子
骨董屋「雨柳堂」を舞台に、雨柳堂に持ち込まれる骨董品にまつわる因縁や愛情を、雨柳堂店主の孫息子であり、骨董の声や思いを見聴きすることができる主人公の蓮を狂言回しとして描く物語です。こちらは付喪神系の物語が多いですね。舞台が大正時代なので、当時の風俗や文化風習がお好きな方にもおすすめです。