backpacker

スーパーシチズン 超級大国民のbackpackerのレビュー・感想・評価

4.5
東京国際映画祭2017、22年ぶりに東京国際映画祭へ戻ってきた『超級大国民』、鑑賞しました。これはもう間違いなく名作です。

理想に燃え、理想に生き、理想を目指し、理想を抱いて死んでいった若者達と、かつてその一部だった老人の贖罪の涙。

台湾での長き戒厳令や白色テロについて、あまり詳しく知りません。台湾に留学してた友人からちょこっと聞いた程度です。
でも、そんなこと関係なく良い映画でした。
力強さと冷酷さを兼ね備えた映像が、魂を失い時の流れにさらわれてしまった老人の中に残り続ける、贖罪の思いを見せつけます。

ありとあらゆる拷問で、尊厳のことごとくを奪われたがために洩らしてしまった陳さんの名前。彼を売ってしまったことに対する慚愧の念や悔恨の情が、罪滅ぼしへと駆り立てる。痛い、心が苦しくなります。

あの「すみません」に万感の思いが込められていました。
脚本と話を展開させていく構成も素晴らしく、要所で「おや?」っと思わされたのですが、きっちり疑問点は回収されていきましたので満足です。
映像も時に幻想的で、時に冷たいほど現実的で、セピアの過去もたまらない。

せっかくデジタルリマスターされたんですから、是非ともBDにしてほしい一作でした。
backpacker

backpacker