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詩人の恋の708のネタバレレビュー・内容・結末

詩人の恋(2017年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

とてつもなくやるせない。切ない余韻が残ってます。あーん。

序盤がコミカルに進んでいるのでかなり油断させられていたところで、いつしかシリアスで切ない展開になっていくというズルさ。売れない詩人のテッキ役のヤン・イクチュンは素朴で地味なんだけど、魅力的で可愛らしいんです。そういう部分でも油断させられていた気がしてます。

テッキとドーナツ屋の青年セユンの関係を恋愛と言っていいのか?
BLやブロマンスみたいなものなのか?
果たしてそのまま行ったら肉体関係を持ったのか?

周囲はそういう部分で明確な答えを求めるけれど、たとえそれまでの人生がゲイだとかホモセクシュアルではないにしても、ある日突然、ロマンチックなモードで気持ちが動いたり、心や体を求めようとしたりっていうことがないとも言い切れないと思うんです。長年ずっと女性と付き合ってきた男性や既婚者の男性が、あるとき巡り会った男性に心惹かれたなんて、この作品のような話を聞いたことは何度もあります。まぁ、お相手の女性からしてみたら、たまったもんじゃないとは思いますが、でも、他人の心をコントロールする権利は誰にもないですからね。

出産を控えたテッキの妻のガンスンの明確な行動は凄いけど、セユンを説得するという行動は母親としてというよりも、ガンスンの女の意地と弱さという二面を強く感じました。結果、テッキはセユンと別れることになり、いつまでもセユンへの思いを胸に抱えて生きていく人生に。後々になって、テッキはガンスンの説得をセユンから知り、そこでセユンから一緒にどこかへ行こうと持ちかけられたものの、テッキはきっぱりと断るというのが本当に切ない。恋って勢いで突き進む部分がありますからね。もう遅いっていうこともあるわけで。最後にひとり、ほろりと涙を流すテッキにやるせなさを感じました。

まぁ、セユンはウリ専で働くノンケに近い感じで、テッキを恋愛的に見ていなかったんじゃないかとも思うので、断って正解だったようにも思えます。
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