おけい

運命は踊るのおけいのレビュー・感想・評価

運命は踊る(2017年製作の映画)
3.8
息子が戦死した。

冒頭は突然連絡を受けた両親の哀しみや行き場の無いやるせなさが痛々しく描かれる。

しかし後から、戦闘地とは離れた比較的安全な検問所で任務をこなしていた息子の訃報は同姓同名の別人であったことが判明する。

両親は当然安堵するのだが、それと同時に父親は怒りを爆発させる。大至急息子を連れ戻せと強引に主張する父親の判断は、やがて家族の人生を狂わせていくのだが…。

人は常に何かを決断したり、常に何かを選択しながら生きていくわけだが、その判断にどんな結果が待ち受けているかは誰にも分からない。あの時、こうしていれば…と後悔したり誰かを責めたてても結果論でしかない。

そういう意味では、運命はいかほどにも変えられるし、良かれと思って判断したことが、何のいたずらか悪い方に転がることもある。

例え話として例を上げると、芸能人のこんな裏話を聞いたことがあります。

占い師に指摘されたのだったか、自分で占いの記事を読んだのだったか忘れてしまいましたが、ある芸能人が今後怪我に注意的な内容を気にして神社に御守りを買いに道路を横断中、車に轢かれる…。そんな占いなど信じなければ何事もなかったのに。

本作を観て運命のイタズラを考えていたらそんなエピソードを思い出しました。

最後に忘れてはならないのは、誤報による家族の安堵の影で誰か別な人が犠牲者になっている事実と、同じくどこかで哀しみに暮れる人達がいるということ。戦争なんて儲けたい誰かが起こしてるマッチポンプ。そんなことの為にいつまで人々は犠牲になるのか。

全編アートのような美しい映像でスタイリッシュなうえ、非常に画力のある作品でした。
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