やむちゃ

ジョン・ウィック:パラベラムのやむちゃのレビュー・感想・評価

3.7
今作こそ劇場で観るつもりだったが、今度は身内の不幸で観に行けず。後日配信で鑑賞。

キアヌ・リーブス主演、チャド・スタエルスキ監督のシリーズ3作目。

前作ラストでホテルの掟を破ったことから追放処分となり、世界中の殺し屋から狙われる羽目になったジョン・ウィックが、いかにその危機を切り抜けるかというお話。

どこに行っても周りは殺し屋だらけで、気の休まる場所がない。
また体もボロボロで、応急処置だけでなんとかしのいでいる状態。
まさに四面楚歌、満身創痍な状況で、ジョンは常に疲れている。
考えてみれば、設定的には1作目からまだ一週間ほどしか経っておらず、最初の傷さえ癒えていないはずで、あれだけ動けるのは超人的ともいえるw

設定はますます漫画チックになって行き、ジョンが育った殺し屋養成機関が出てきたり、主席のさらに上の人に会うには、なぜか砂漠を彷徨わないといけなかったりと、もはやダークファンタジーのような設定。

ジョンは体術で三角絞めや腕ひしぎ十字固めをよく使うが、引き込みから技をかけるのではなく、足を取ったり投げを打ったりしながら技に持ち込むなと思っていたが、今作の殺し屋養成機関のシーンを観て、サンボを会得している設定なんだと腑に落ちた。

2作目や今作でジョンに協力した人たちは、主席連合からの罰を受けることになる。
殺し屋養成機関の女性ボスは、両手を刀で貫かれる。
ホームレス殺し屋集団のキングは、ジョンに銃を与えたことでその座から下りることを要求され、断るとジョンに与えた弾丸の数(7発)と同じ回数(7回)斬られることになる。
ホテルの支配人は、ジョン殺人指令の効力発行に1時間の猶予を与えたことを咎められ、支配人の辞任を要求される。
こちらも要求を拒みジョンと手を組むことで、ホテルの聖域を解除(ホテル内で殺人をしても良くなる)され、終盤の銃撃戦に繋がっていく。

この銃撃戦が壮絶で、敵の装甲服(防弾技術)が凄くて、通常の銃弾では効かない。ホテル側のメンバーは無惨にも殺されていく。ジョンは装甲の隙間を撃つことでなんとか凌ぐが、ほぼ防戦一方の展開。後半になって装甲を貫通する弾丸を使うことで、ようやく窮地を脱することができる。

かつてのクライング・フリーマン(1996年)ことマーク・ダカスコス演じる日本人の殺し屋ゼロは、凄腕なのにジョン・ウィックへの憧れが強すぎて、ファン目線で話しかけるなど戦闘以外の行動が、お茶目で面白い。
キャラ的にはスキンヘッドの風貌もあり、リュー・チャーフィーか大葉健二を彷彿とさせる(寿司屋設定といいキル・ビルの大葉健二?)。
ただ日本語がカトコト過ぎるのは、もっと練習してなんとかして欲しかったなぁ。

今作は当初、真田広之にオファーしたが、スケジュールが合わずポシャったらしい。真田広之がゼロを演じる予定だったのかはわからないが、見てみたかった気もする(次作に別キャラでの出演が実現したのは嬉しい)。

今作のラストバトルは、「死亡遊戯」のオマージュ(前作は「燃えよドラゴン」だった)。
中国のカンフーコンビ、インドネシアのシラットコンビと順番に敵を倒しながら、上階に上っていき、ゼロとの対決を迎える。
建物的にはガラスの間で、やや燃えドラっぽさもあり、ガラスに突っ込みまくるのはジャッキー・チェン作品ぽくもある。
また序盤に出てきた長身の殺し屋は現役NBA選手とのこと。この辺も死亡遊戯のハキム役カリーム・アブドゥル・ジャバーを連想させる。

なんやかんやありながらも、ホテルの人たちやキング、ハル・ベリー演じる元殺し屋のモロッコホテルの支配人など、命の危険にさらされながらも協力してくれるのが、ジョンが愛されているってことだなと感じた。

2作目に出てきた殺しの依頼システムも再び登場。あの連絡機関をじっくり描いたスピンオフを作って欲しい。
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