「よーし、ボチボチ昼にしよっか~」
現場監督さんが叫び、学生バイトのおれはヘルメットを取って汗を拭った…
土方仕事のバイトはキツいがいい収入になる。
おれは現場に積んである資材に腰を下ろすと弁当を食べ始めた。
ふと足下を見ると資材に沿って蟻の行列が続いている…
「蟻だ…」
おれはささみの欠片をその行列から少し離れた場所になんとなく置いてみた。
匂いに気づいたのか一匹の蟻が行列を離れてまるで斥候のようにささみに向かってきた。
ささみ発見!
蟻は触覚を触れ合わせたりして情報交換をするらしいが、どの程度の情報量なのだろう。
先ほどの斥候蟻が行列に知らせるといつしか行列からささみ経由の支線が出来た。
おれは弁当を食べながらちょっと驚きながら蟻たちの作業を観察した。
「完全分業制か…」
驚くことに何匹かの蟻がささみの上に取りつきチョップチョップと肉を切り出して下の蟻に渡すと肉片はあっと言う間に行列に乗って運ばれていく。
「すごいな、おれたちより手際よく働いとるわ」
おれは食後の一服をしながら蟻さんたちのお仕事を尊敬の念を感じながら眺めていた。
「よーし!ボチボチ始めっぞ~」
監督さんが叫んだ。
ありの観察が印象的なこの映画…ちょっと驚くべき映画でした😁💦
テレビで樹木希林さんが是非やりたかったとインタビューに答えていた山崎努との共演…日本映画界の妖怪ふたり!
監督はおれの大好きな「横道世之介」の沖田修一…
これで期待するなと言う方が無理でしょ?…ところが始まってみるとこれがことごとく裏切られたのです。
この映画からこんな感動をいただきたい…凡人のおれが抱いた期待をことごとく裏切ってくれたのです😁💦
ドリフの話をするくだりはおれは飛び上がるほど驚きました。
終わってみれば…
感動するのか?
笑うのか?
呆れるのか?
激怒するのか?
ほんとにどうしていいのかわかりません。
熊谷守一という画家…実在だから実話だろうと勝手に思ってたら…
調べてみると…
「仙人」も「30年間」もほんとにあるキーワードなんだけど嘘?フィクションですって全然意味わからん💦
検索の「画像」を押す…
おれのスマホに並ぶ熊谷守一の実際の作品群…
うーん💦
正直に言うと映画には少し呆れていましたが、その絵を観ておれは静かに静かに感動したのでした。参ったな💦
この映画…ふざけているのか?ある境地に達しているのか?とにかくとんでもない映画でした😁💦
「よーしボチボチ終わろうか~」
監督さんが叫んだ。後片付けを終わらせて帰る前に「どうなってるかな~?」
おれは昼食をとった資材置き場に蟻さんたちを見に行った。
「あぁ!」
おれは声を上げてその場に立ちすくんだ。
資材置き場は資材が全部取り除かれ、一面にコンクリートが張られていたのだ。
あの優れた蟻集団はどうなってしまったのだろう?巣もろともコンクリートの下なのか?
おれはなんともやりきれない気持ちで夕焼けの工事現場に立ちすくんでしまったのでした💦