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リトルデビルのhorahukiのレビュー・感想・評価

リトルデビル(2017年製作の映画)
3.8
妻の連れ子は悪魔の子だった!
悪魔の子ルーカスくんのヤバさに気づいちゃった主人公が、義父セラピーに通ったり、児童相談所から虐待を疑われたりと大変な目に合っちゃうドタバタ系コメディホラー。

『タッカーとデイル』で有名なイーライクレイグ監督作。凄く真っ当で現実的なテーマを悪ふざけ感たっぷりで描いた監督らしい作品で大好きでした♫

あらすじ…
美人と結婚したは良いけれど、妻の連れ子ルーカスくんとうまく馴染めない主人公。声をかけても返事は返ってこないし、学校では問題を起こして呼び出しを食らう。しかもルーカスくんの周りでは不審なことが立て続けに発生。そのあまりの異常さに、悪魔の子に違いないと考えた主人公は…。

『オーメン』『ローズマリーの赤ちゃん』『ポルターガイスト』『シャイニング』等々、ホラー映画へのパロディ・オマージュが至る所に散りばめられてるのが監督らしい。そのままタイトル出してる『蝿の王』とか『チルドレン・オブ・ザ・コーン』を思わせるようなトウモロコシ畑への言及も面白いですね。

ルーカスくんが「地獄に堕ちろ」と言った瞬間に担任が自殺したり、睨みつけたらピエロが火を落として燃え始めたり。間近で小屋が吹っ飛ぶ程の竜巻が発生してもルーカスくんは髪の毛一本微動だにしない。そんでママの過去の恋人はひとりを除いて全員死亡というヤバさ。

それに加えて、テレビの砂嵐を見つめ続けたり、霧が立ち込める真っ暗闇の中ひとりブランコを漕いだりといった恐怖演出が全てルーカスくんを悪魔のように盛り上げるから、見た目可愛らしいルーカスくんがどんどん怖く見えてくる。

でも内容的には、父性の獲得と喪失で揺れ動く主人公の、義父としての一般的な苦悩を面白おかしく悪ふざけ感満載で寓話的に描いた作品といった感じですね。そこにキリスト教的な価値観をシンクロさせ、キリスト教的終末=父性の終焉と捉えている。「携挙」って何かと思って調べたら、プロテスタントにおけるキリスト教終末論のことのようです。

本作は、神と悪魔の対立構造を利用してその表裏一体性と、「父親としての悪」に堕ちる(父親になることから逃げる)という義父だからこそより強くなる誘惑との内面的な戦いを描いている。そして、その誘惑という悪を打ち負かすだけではなく、実父という「父になる」ためには必ず立ちはだかる絶対的な幻影を打ち砕くお話でもあるし、子どもを悪の道に進ませるか否かは全て親次第だということをも描いている。

笑えるところは多かったのですが、私的にマインクラフト17時間やらせてくれる実父の話が一番面白かった。寝てる時以外ずっとやってるやん!最後もハートフルな感じで、とっても面白い映画でした♫
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