スリラー要素の濃いサスペンス・ミステリーで面白かった。
特捜部Qが好きな人に向いているという紹介をYouTubeで観て、IMDbでの評価も高かったことから鑑賞。北欧とは対照的なスペイン映画だけれど邦題通りの凄惨な連続殺人事件は、なるほど特捜部Qのエピソードにあっても違和感ない。それにしてもこのあまりにも工夫のない邦題、もう少し思わせぶったものにできなかったのだろうか。
捜査にあたるのが刑事だから必然的にバディものになる。大体は変人刑事とまともな刑事の組み合わせがポピュラーなテンプレだけど、本作の主人公はふたりともなかなかの個性派。
ひとりは突発性吃音のため他人とのコミュニケーションが苦手、もうひとりはすぐ頭に血がのぼりあとさきを考えられない暴力刑事。私生活を通してしっかりふたりの人物像が描かれるので、前半、知れば知るほどどちらにもあまり感情移入しづらかったりする。頭脳派を演じる役者は初めましてだけどダスティン・ホフマン似でどうしても「レインマン」を思い出してしまうのがちょっと残念だった。
そんなふたりだが、後半、事件が進展するにつれ慣れてくるのか人間臭いところも気にならなくなるから不思議。「名探偵モンク」や「アストリッドとラファエル」な感じ。
時期は夏で終始、暑そうなのに、対照的に人間ドラマは寒々とした北欧ミステリーに通じるものがある。同僚や知人が犠牲になり号泣していたはずの主人公が、事件が解決した途端、明るく大笑いし合うシーンで終わりがちなハリウッド映画とは、やはり欧州映画はテイストが違うなあと感じる。まあ、これは米国の底なしに明るいリアルな国民性ゆえなのかもしれないけれど。
終盤、短いワンシーンだけど凝ったカメラワークがあり思わずリプレイした。ここは必見。ロドリゴ・ソロゴイェン監督は最新の「理想郷」が評判が良いらしいのでクリップ。