けーはち

イモータル・ライフ・オブ・ヘンリエッタ・ラックス/不死細胞ヒーラ ヘンリエッタ・ラックスの永遠なる人生のけーはちのレビュー・感想・評価

3.5
HeLa細胞は1951年に子宮頸ガンで亡くなった黒人女性ヘンリエッタ・ラックから採取されたガン細胞。今なお世界中の研究室で分裂増殖を繰り返すが、それがもたらす莫大な恩恵を彼女の遺族は受けていない。HeLa細胞の持ち主の知られざる生涯を描く原作を基に、映画ではローズ・バーン演じる原作者が遺族にインタビューする過程をストーリーとして再構築。

黒人差別の強い時代に無断で母親の細胞を研究に利用され、それに便乗してきた弁護士を装う詐欺師に引っかかるなどして、すっかり精神を病んだり荒んでしまった遺族。「死者のことは語らない」という彼らと時間をかけて打ち解けていき、それでもなお超えられない壁や傷に直面する。永遠に増え続ける不死細胞の興味深さ、その持ち主の人生を追う中で、黒人差別の悲惨な歴史や精神の病という苦しみが現れ、それを乗り越える不死細胞=永遠の愛という文脈が乗ってエモさで美しく締める医学ヒューマンドラマ。