東朴幕院

八つ墓村の東朴幕院のレビュー・感想・評価

八つ墓村(1996年製作の映画)
3.8
1970年代の角川による市川崑監督作品シリーズや松竹での野村芳太郎監督版同作と比較される対象が多く難儀だったろうと想像出来る。
鑑賞したが、良い所と受け入れられない所が散見されるものであったね。
猟奇ホラー寄りだった野村芳太郎版と比較してよりミステリーとして描かれたものであり一定の好感が持てる。また野村芳太郎版では登場しない人物として宅麻伸演じる里村慎太郎とその妹、典子の存在がおり原作に近いのだろうと思わせるのも良い。また慎太郎の存在により犯罪の動機も祟り感が薄くなっているのも説得感はあるかな。
一方で、残念な方は豊悦の大声での『しまったー』の件と高橋和也の仕掛け階段を発見した時に『こんなところに階段が』のセリフを言わせる演出。そして市川崑監督作品なのに美術や撮影に美しさが少ない事。岸辺一徳の多治見要蔵役が似合っていたか…。
そして浅野ゆうこは、これまでの市川崑作品のそれには荷が重すぎたのかな。顔立ちも現代的な感じだし。萬田久子も春代は及第点か、野村芳太郎版の山本陽子に引けを取らないものだったね。
総じて一定の満足があるものの美術や撮影が往年の輝きをみたものからするとストレッチ出来たのでは、それが出来ていればレベルはもっとランクアップしたのではと思ってしまうのが残念な所か。
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