KanaiSatoru

スリー・ビルボードのKanaiSatoruのレビュー・感想・評価

スリー・ビルボード(2017年製作の映画)
4.4
スリービルボードを観ました。

この映画、面白い!
久しぶりに先の読めない映画というものを堪能させてもらいました👍😉

キャラクターも良いですね。
主人公のミルドレッドを演じるフランシス・マクドーマンドさん、何とアカデミー賞主演女優賞を取ってます。しかも2度目!

すごい存在感です。
犯人を絶対に捕まえようという、折れない意志の強さを持った主婦を見事に演じてます!

ストーリーは、片田舎の町で、何者かに娘を殺された主婦のミルドレッドが、犯人を逮捕できない警察に業を煮やし、解決しない事件への抗議のために町はずれに巨大な3枚の広告看板を設置するところから始まります。
看板で侮辱された警察。
下品な看板を快く思わない住民からミルドレッドへの嫌がらせがエスカレートし、事態は思わぬ展開へ!

この映画の素晴らしいところは、警察署長が真面目ないい奴という設定で脚本が作られているところです。
二流映画なら、警察署長を極悪人に設定して、ミルドレッドとの対決をエンタメ風に盛り上げるところですが、なんとまあいい人😳

馬鹿な部下を叱り、捜査をやり直そうという意思を見せ、ミルドレッドのところに捜査が進まない理由を丁寧に説明しに訪れる。

あれ?思ってたのと違うな〜、と最初は面食らいます。

ところがこの所長の意思に反してバカな警察官たちはミルドレッドに嫌がらせをやめません。

でもね、
彼らにも正義があるのです、立場の違う者、それぞれにそれぞれの正義があるので正解が1つじゃないのです。
それが人生の難しいところであり面白いところでもあると言うのを、この脚本は、僕らに示唆してくれます。

正義の反対はもう一つの正義という言葉があります。正義の反対は悪では無いのです。
二流の映画ではどうしても善悪を極端に描きたがり、それがわかりやすいが故に観客からも受け入れられやすいのですが、僕らのように目の肥えた映画ファンからすると
それではもうひとひねり足りないと思えてしまうのです。

そして物語は中盤、とんでもない展開を見せます。
いつたい、この話はどこへ向かうのか?
全く予想がつきません💦
素晴らしい脚本です。

さらにもう一点、素晴らしいのは、差別主義のバカ警官を演じたサムロックウェルです。

警察署長役のウッディ・ハレルソンと差別主義者の警察官役のサム・ロックウェルがともにアカデミー助演男優賞候補となり、ロックウェルが受賞!

何とまあ、演技派に支えられて脚本が素晴らしい映画は、ホントに面白くなる、という典型ですね👍😉

有名俳優を高いギャラ払って登場させても、面白い映画にはなりません。
何気なく見た映画が、予想に反して完成度が高いと、生きててよかったと言う気持ちになります😆

さて、ここから少しネタバレするので、ご注意ください。

印象に残ったのは最後のシーンで、真犯人でもないヤツを2人で殺しに行くところ。

所長が死んで改心した差別主義警官は、自分の今までの言動を悔い改め、過去を清算するかのように殺しを選択する。

主婦ミルドレッドは、犯人を見つけた!という希望を失い、最後の望みが立たれた中で、怒りと悲しみのやり場として、この殺しを選択する。

何か不思議な力に引き寄せられた2人が一緒に車を走らせる最後のシーン。
余韻の残る終わりかたでしたね😔

最後の最後まで先の読めない展開で、この先のふたり、そして彼らの家族がどうなっていくのか?
ふたり旅をロードムービーにして続編を作って欲しい、と思ってしまいました。
個人的には90点です。
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