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ビッグのMOCOのレビュー・感想・評価

ビッグ(1988年製作の映画)
5.0
「スーザン、君も僕と一緒に子供になれないかな?」(ジョシュ)

 一夜にして体だけ大人になった少年がオモチャの会社で大出世するお話です。
トム・ハンクスがめちゃくちゃ笑わせてくれます。

 身長が足りず好きな女の子の前で移動遊園地のジェットコースターに乗れなかった12歳のジョシュは願い事を叶えてくれるコインゲーム機『ゾルダー』に「大きくなりたい」と願いをかけクリアします。『ゾルダー』は電源コードがコンセントから外れていたのですが・・・。

 翌朝、ジョシュは心は12歳のまま大人の体になってしまいました。
 異常な変化は誰にも理解できないと悟ったジョシュは、家族に説明することもなく家を飛び出し、親友のビリーに助けを求め辛うじて事態を理解してもらえます。
 ジョシュはビリーに移動遊園地の移動先を探してもらい、生活のために部屋を借りオモチャを製造する会社「FAOシュワルツ」に就職します。
 社内の郵便物の配達係になったジョシュは偶然社長と意気投合して自社のオモチャに対して意見を聞かれます。
 心が子供のジョシュの辛口の意見は的を得て、オフィスを与えられどんどん出世していきます。
 重役のスーザンと相思相愛(スーザンは大人の関係を求めるのですが・・・)になり、仕事が楽しくなり子供のビリーとの関係が次第に崩壊し始め・・・。
 重要な会議が始まろうとしているとき、遠ざけてしまっていたビリーから『ゾルダー』が今どこにいるかを知らせるメッセージが・・・。

 トム・ハンクスはこの作品でゴールデングローブ賞 主演男優賞を受賞しているのですが、納得の受賞です。あの表情と演技はトム・ハンクスだからこそと思わせてくれます。
 シリアスなトム・ハンクスしか知らない方は、観るべき一本です。私はシリアスな演技に移行していったトム・ハンクスが信じられず「グリーンマイル」までトム・ハンクスの映画を観ることができませんでした・・・。だからこの映画のトム・ハンクスはどのシーンを切り取っても私の好きなトム・ハンクスなのです。

 この映画は製作25周年記念版のロングバージョンがブルーレイで出ていますから、今から観るならこちらがお奨めです、劇場公開時にはカットされたシーンが追加されています。

「本当は13歳の男の子(この不思議な期間中に一歳歳をとっています)」という告白を取り合わなかったスーザンはビリーのメッセージを見つけて慌てて『ゾルダー』のある会場に向かうのですがすでにジョシュは・・・。

「ここなのね。どの家?」
「あれだよ」
「いい家だわ・・・
お別れね」
 公開当時「恋人を選ぶか母親を選ぶか」悩んだ挙げ句家族の元へ帰っていくジョシュの選択について、話した記憶があるのですが、30才に近かった未婚の私たちの間では恋人を選ぶ方が多かったのですが、仕事が楽しくてどんなに会社に認められていても、大人の恋人がいたとしても12才の少年はお母さん第一なのです。それに気がついたのはずっとずっと後(私が父親になってから)の話です。
 ラストの選択はこれが普通なのですね。                        
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