千年女優

名もなき野良犬の輪舞の千年女優のレビュー・感想・評価

名もなき野良犬の輪舞(2016年製作の映画)
3.5
裏社会で台頭する野望を持つ受刑者で、手始めに刑務所内を牛耳ったところで血気盛んな新入りの青年ヒョンスに出逢い、その度胸の良さを見込んで徐々に親密さを深めていくジェホ。数年後、互いに出所して麻薬密売組織で活動するふたりが、互いの持つ複雑な事情の中で追う警察と命を賭した駆け引きを繰り広げる様を描いた犯罪映画です。

ラブコメ映画『マイPSパートナー』を成功させた韓国人監督ピョン・ソンヒョンが前作とは毛色の異なる裏社会ノワールを描いた2017年公開の作品で、カンヌ国際映画祭で好評を得ると韓国内でも観客に受け入れられて大鐘賞を始めとする映画賞の数々にノミネート。次作『キングメーカー』監督に繋げるなどスタイルチェンジに成功しました。

韓国のバイオレンス映画では定番となる裏社会もので、このジャンルでは古今東西でいくらでもある類型を覆すべくツイストにツイストを重ねる作劇でフレッシュさを演出します。効果ばかりではなく次の展開が予測できる付け焼刃感も否めないところですが、様々な感情の引き出しを持つソル・ギョングの存在が物語を牽引している一作です。
千年女優

千年女優