「マスターピース…マスターピース…」
これ、マスターピースだよ!!
のしあがり系ヒップホップ映画ってことで、「8 Mile」の女性版とか言われているそうですが、もっと素朴っていうか、個人的に女性が主人公だからか、共感ポイントが多かったように思います。
ヒップホップは、英語がネイティブじゃないし、隠語も多くて歌詞が聴き取れないので、好んで聴かないジャンルです。
もちろん、嫌いではない。
どうしよもない自分の境遇への怒りや不条理を音楽で爆発させて、「成功してやるぜ!金稼いで、いい女を侍らさるゼ」ってギラギラしてるスタイルは、潔よくていいなと思う。
本作の主人公パティ・ケイクス(ダニエル・マクドナルド)も貧しくて、子どもの頃から体型をいじられている、コンプレックスの塊。仕事も不安定で、母は酒浸り。
ラップで貧しさから抜け出すことを夢みながらも、漫然と過ごしています。
リアルのヒップホップ界隈の女性アーティストってビッチな感じだけど、パティは容姿も含めて冴えないタイプ。
色気でキーパーソンを取り入るという芸当もできず、なかなか芽が出ません。
でも、上手くいかなくても詩を書くことを止めなかったこと、自分の心に正直に生きられたことが彼女を導いたと思います。
その描き方に、すごく好感が持てました。
彼女を支えたのは祖母のナナで、絶対的な味方がいるって、やっぱり心の支えになるんだなって思わされた。
ラップを諦めかけた時、「わたしスーパースターになれなかった」と泣き言を吐いたパティに、ナナは「お前はもうわたしのスーパースターだよ」と優しくキス。
泣いた、ボロ泣き😭😭😭
新人コンテストのライブでもボロ泣き。母の声(母は売れない歌手だった)を自分たちの曲にミックスするとかズルすぎる。
鋭く世間を抉るような、洗練されたラップを聴かせても人の心は動かない。
パティが自分の恥部や隠したい境遇をさらけ出した時、はじめて人の心が動かせた。
最後のライブシーンは、胸に迫るものがありました。
女系3代の不運な境遇を断ち切ったのは、パティのラップ。音楽の力は強し!
オーストラリア出身のダニエル・マクドナルドさん。去年公開した『SKIN』でジェレミー・ベルの恋人役を演じてました。
あちらも熱演でしたが、この作品はほんとにすごい。
ラップ、相当練習したんだろうな。。。
ナナの声のエフェクト「PBNJ、PPBNJ・・・」から始まる、あの曲。カッコいいからダウンロードしたいのに、全然探せない。
劇中歌にしては良く出来すぎだから、リリースして欲しかった泣