daiyuuki

パーフェクト・レボリューションのdaiyuukiのレビュー・感想・評価

4.2
クマ(リリー・フランキー)は幼少期に脳性麻痺を患い、手足を思うように動かせず車椅子生活をしている。
ただし彼はセックスが大好き。身体障害者にとっての性への理解を訴えるために活動している。
そんな彼が、ある日、双極性人格障害の美少女・ミツ(清野菜名)と出会う。
障害者であるにもかかわらず生き生きと生きているクマに、ミツは「あなたとわたしみたいなのが幸せになれたら、それってすごいことだと思わない?」「それを世界に証明するの! 」。
どんな不可能も可能にする、ハチャメチャだけど純粋な、クマとミツの“最強のふたり"のラブストーリーがいま始まる!
企画・原案は、講演やイベントなどさまざまな活動を通じて、障害者の性を訴えつづける活動家・熊篠慶彦。彼の実話にもとづく物語を、『最後の命』の松本准平監督がポップに力強く映画化。
熊篠の長年の友人であるリリーは、彼の活動と生きざまが映画になると聞き、役柄を問わず協力したいといって本作への参加を決断している。
さらに、劇中に流れる銀杏BOYZの名曲「BABY BABY」は、リリー自ら銀杏BOYZ峯田和伸氏に「あの曲を使わせてくれないか」とオファー。
楽曲の世界観がクマとミツの関係性を見事に表現している。
脳性麻痺のクマと双極性人格障害のミツが、介助を必要とするクマと双極性人格障害のために感情のコントロールが上手く出来ないミツの障害、それぞれの家族の反対、世間が押し付ける「かわいそうな苦労だらけの人生を生きる障害者」のイメージ、子供を持ちたくても子供の頃骨盤の手術のためにレントゲンのための放射線を浴びたクマは障害児が生まれてくる可能性があるので子供を持つことに積極的じゃないことと情緒不安定になると自傷などの行為に走ってしまうミツの障害、をぶつかり合いながら乗り越える中で強い絆を結んでいく展開が、ラブコメディタッチで描かれていた。
ただ「最強のふたり」「世界で一番キライなあなたへ」と比べると、少しファンタジー的な描き方が、多かった。例えばミツは実際には、女性の性の解放運動をしている関係でクマの活動に興味を持ちイベントに参加した時にクマに一目惚れしたこと、ミツが慣れない介助や家事をしたり笑顔で頑張ったこと、現実主義者で地味な色を着たがるクマと感情のおもむくまま行動するミツのぶつかり合いながら愛が深まったきっかけになったヨーロッパのイベント遠征での出来事など、ある程度事実を取り入れてリアルにしても良かったのではと、特にクライマックスの展開を見て残念に思った。
とはいえ、クマとミツがテレビの取材を受けた時にテレビ局のディレクターが苦労話を無理やり引き出したがったり派手なミツを地味なメイクにしようとする片寄った姿勢、過去の失恋から恋愛を諦めたりリスクを避けたり高望みすることをしないクマの諦めと現実主義者ぶりとミツがクマに喧嘩を売ってきた人に立ち向かうのを見てミツに惹かれていく心情の変化、ミツの常に心のままに現実に立ち向かう前向きな力強さがクマの障害者であることの後ろめたさを吹き飛ばしていく心情の変化は、丁寧に描かれていたし、クマを演じたリリー・フランキーとミツを演じた清野菜名の熱演とクマとミツがダンスするシーンは、良かった。
障害者のことを知らない人が、入り口とする映画としては、良かったと思います。
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