ペコ

ミスター・ロンリーのペコのレビュー・感想・評価

ミスター・ロンリー(2007年製作の映画)
4.0
故人がたくさん登場する映画だなぁとニヤニヤしてみたり。
面白いか?ときかれると素直には首を振れないが、心に闇を抱えた人、自殺願望のある人、先行き不安な人はゼヒ見て欲しい。
世界とは何だろう。。自分とは何だろう。。
そんな漠然とした不安を肯定し、世界とはこんなもんだ、それがどうした?と背中を押してくれる(はず)。

映画スター、歌手、おとぎ話の主人公などになりきり、閉鎖的な生活を送る人々の話。

主人公の空っぽ具合が素晴らしかった。あまりにも空っぽすぎるからマイケル・ジャクソンで埋めているんですよ!凄くないですか?

よく何にでもなれるさー♪なんて曲あるけど、人間は全知全能にはなれないし、どうしたってマイケルにもなれない。基本的に羊や豚とあまり変わらない生物だと思うが、唯一の違いは自我の有無だろう。この映画を観ていると、それは悲劇のように思えてくる。

この世で、自分の意志に従って事を成せる機会はそうそう無い。大体の場合、個人は社会や自然によって殺される。(人権?何ソレおいしいの?)
そんな世界に抵抗する手段が自殺で、それを防ぐために宗教が機能しているのだと私は思っている。

シスターがスカイダイビングしながら自転車をこぐシーンは本当に素晴らしく、、宗教体験のような、、脳天が溶けて別次元へ昇華されていくような、この世のものとは思えない奇跡だった。(皮肉)

奇跡(救い)なんて無いし、人間は総じて(卵の殻のように)空っぽだけど、いつか自分だけの役を見つけたいし、誰かに受け入れてもらえるのではないかと信じていたい。そんな前向きな余韻に救われる作品。(言いかえれば、そう信じて生きていくしかない、ということを言った鬱映画)
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