スカンジナビアから全世界に発信された、現代人に捧げる四角い枠組み『The Square』
人々に問題意識を喚起させる現代芸術作品「The Square」を通し、
エッジの効いたアイロニーとバツの悪い笑いが連鎖してゆく大傑作でした！
2017年度もパルムドールの栄冠は伊達じゃなかったね！
世界一税金が高く、世界一社会福祉が行き届き、世界一幸せな国として、何かと羨望の的になっている北欧先進国家スウェーデン。
その裏側で置き去りにされている(むしろ黙殺されている)移民や貧富の問題。
ないしは我々が無意識のうち、他者への信頼と寛容さが希薄になりつつある"虚弱ヒューマニズム"を明け透けに掘り下げていきます。
理想を提起する権威の立場も実生活では相反するかのように、良くも悪くも人間の欺瞞が露呈。
拒絶したくなるような辛辣な状況でも、我々はそのどこかに自分自身を見出ださざるを得なくなります。
こんなクソ面白んなさ過ぎて面白いセックスシーン初めて観たし。
コンドームのくだりも最高。もしも精液を証拠に「レイプされた！」って訴えられたら…な疑心暗鬼シーンでした。
印象的だったのは、恐らく移民であろう物乞い達の姿。
スウェーデンってキャッシュレス化が世界一進んでいて、今じゃ現金使用率はなんと2%を切っているんですよね。
もう国民のほとんどが現金を使わなくなってきてるし、現金が使えない店もかなり増えてるんです。(チキンサンドのくだりにしかり)
ヨーロッパって物乞いや貧しき人々には割と慈悲を向ける習慣が昔から根付いてるんだけど、テクノロジーの発達で物理的にその施しができなかったり、移民への敬遠からその美徳すらも淘汰されようとしている。
だからこそ道端で小銭を乞うホームレスの不毛さが際立ち、見えざる貧富の隔絶化をそこに感じました。
一方、主人公が子供たちの反応で気づかされてゆく様は、あるべき人間性の奪還として一時の"救い"にも映りました。(それでも一筋縄ではいかぬラスト…)
誰かを思いやるって、偏見を持たず他人を敬うって、そんなに仰々しく取り上げるほど、難しいことだったっけ？？
そんな当たり前のことを並外れたユーモアで問いかけてくれる超秀作です！
