天豆てんまめ

女王陛下のお気に入りの天豆てんまめのレビュー・感想・評価

女王陛下のお気に入り(2018年製作の映画)
4.1
エマ・ストーンの心奪われる愛嬌と底知れない野心と腹黒さも、レイチェル・ワイズの気品を放ちつつも他を圧倒する激し過ぎる妖気もどちらも凄い。最後までどちらに運命が加担するのかもわからない。

そして歓喜と魅力溢れるアカデミー賞スピーチが思い出深いオリヴィア・コールマンの超絶演技は、消え去らない哀しみを、時に赤子のように、時に傲慢な君主として、狂気の淵と無邪気さが瞬時に変わっていく。虚ろな瞳の語る彼女の物語の深さ。

ヨルゴスランティモス監督。意地の悪さもここまで完璧に仕立てられてくると痛快!更に陰謀渦巻く人間の愚かしい姿を晒し尽くしたユーモアの味わい。

不穏な旋律がずっと心を動揺さぶり続け、宮廷の豪華だが閉鎖的な美しさを捉えた映像構成で時に森の美しさに目を奪われるが、そこでも陰謀は張り巡らされ、観ている私たちに逃げ場を与えてはくれない。

作品世界に没入し集中力が最大限に研ぎ澄まされるようなヒリヒリとした映画体験を堪能できる映画だ。