せいけ

バルバラ ~セーヌの黒いバラ~のせいけのレビュー・感想・評価

4.5
実在したバルバラという存在を演じる中で1人の人間の存在が限りなく薄くなりまた新しい何かが生まれる過程を見ているかのような不思議な感覚
主人公の俳優のブリジット、伝記映画としての役柄のバルバラ、実在に存在したバルバラ、それらを演じる現実世界にいるジャンヌ・バリバールという複雑な構造
演じることをテーマにするといくつも層が重なりクリエイティブな印象が強まるのが面白い
マチューアマルリックが監督役として出演しているのもこの映画の厄介な面白さ
創作の可能性と危うさの両面がしっかり描かれている
フィクションとドキュメンタリーを同時に見ているかのような感覚が得られた
ただ、試みとしては面白いがアスペクト比や映像の質感が頻繁に変わる演出はやや狙いすぎな印象も