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ゴールデン・リバーのYYamadaのレビュー・感想・評価

ゴールデン・リバー(2018年製作の映画)
3.6
~脱「勧善懲悪」の「新西部劇」~
【ネオ・ウェスタンのススメ】
『ゴールデン・リバー』(2018)

◆本作の舞台
 オレゴン準州~カリフォルニア州
◆連関する時代背景
・1848年 / カリフォルニアに金鉱発見
・1849年 / ゴールドラッシュ最盛期
・1850年 / カリフォルニアの州昇格
★1851年 / 本作の舞台

〈見処〉
①名優たちが集う西部劇サスペンス
・『ゴールデン・リバー』(原題:The Sisters Brothers)は、2018年に製作されたアメリカ・フランス・ルーマニア・スペイン合作の西部劇映画。
・本作の舞台は、ゴールドラッシュに沸く1851年のオレゴン準州。最強と呼ばれる殺し屋兄弟の兄イーライと弟チャーリーは、政府の内密を受け、黄金を探す化学式を発見したという化学者を追う。
・政府との連絡係を務める男とともに化学者を追う兄弟だったが、ともに黄金に魅せられた男たちは、成り行きから手を組むことに。しかし、本来は組むはずのなかった4人が行動をともにしたことから、それぞれの思惑が交錯し、疑惑や友情などさまざまな感情が入り乱れていく…(eiga.comより抜粋)
・本作は2011年上梓の(原題と)同名小説を原作にフランスの名匠ジャック・オーディアール監督が初めて手がけた英語劇。第75回ベネチア国際映画祭では銀獅子賞(監督賞)を受賞した。
・主演はジョン・C・ライリー、ホアキン・フェニックスによる「シスターズ兄妹」に加え、『ナイトクローラー』(2014)でも共演しているジェイク・ギレンホール、リズ・アーメッドという豪華キャストによる西部劇サスペンス。

②ゴールドラッシュ
・1848年に当時の未開地カリフォルニアにて金鉱が発見され以降、一攫千金を夢見た白人層の山師、開拓者による「ゴー・ウエスト」の流れは、1949年の「フォーティナイナーズ / 49ers」をピークに迎える。
・わずか3年ほどの期間にて約30万人が移動した「ゴールドラッシュ」は「先住民に対する更なる迫害の結果に至ったが、「カリフォルニアの州昇格」とともに、アメリカ西海岸にもたらした自由で挑戦的な気質は「ITベンチャー」などの現在社会にも受け継がれている
・アメリカ建国後の最重要史実の一つである「ゴールドラッシュ」であるが、映画作品の登場は、古くはチャップリンの『黄金郷時代』(1925)、近年では『野性の呼び声』(2020)など意外に少ないなか、本作では当時の環境を鑑賞することが出来る。

③結び…本作の見処は?
アクション?サスペンス?実は人間ドラマの西部劇。
◎: 「予想と違う」ラストシーンは、アメリカンニューシネマのようでもあり、フランス映画の薫りも感じる、不思議な余韻を残しまくる作品。
◎: 激しさと優しさを併せ持つ兄イーライを演じたジョン・C・ライリーの存在感が秀でている。近年では脇役出演が多いなか、主演俳優としての魅力を発信している。
○: 特殊な技法による金の採取シーン。幻想的な描写ながら「リスクを冒さず、普通にゴザですくっても、金持ちになれるのでは?」とツッコミたくなる名場面。
▲: 4人が揃う作品中盤まで、ひたすら退屈。なぜだろう?
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