みおこし

吾輩は猫であるのみおこしのレビュー・感想・評価

吾輩は猫である(1975年製作の映画)
3.4
言わずと知れた夏目漱石の代表作を名匠・市川崑監督が映像化。

中学校の英語教師である珍野苦沙弥役には仲代達矢さん。原作同様、彼の家に飼われている黒ネコである「吾輩」の視点から物語が描かれます。
日々の出来事が淡々と綴られる原作を映像化するのは至難の業だったと思うのですが、市川監督の見事な手腕により、原作の最大の魅力のひとつでもある「人間のなんでもない日常」が明確な起承転結無しでさっぱり描かれていて、映画を観た感覚よりも本を一冊読んだ感覚になる不思議な映画。

ネコの扱いが雑で許しがたいシーンもたくさんあるのが時代を感じますが、このネコちゃんの演技もすごく上手!(ティムという名前の4歳のネコらしい)時折ネコが珍野先生をなんとも言えない眼差しで見ているのがとにかくシュールで、彼の視点からの人間のバカバカしさ、いじらしさの見え方が楽しい映画でした。
伊丹十三さんと仲代さんという今では貴重すぎる天才同士の演技合戦も最高でした。
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