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検察側の罪人のytのレビュー・感想・評価

検察側の罪人(2018年製作の映画)
3.3
原作は雫井脩介の小説でも知られる、”時効”をストーリーの着想としたサスペンスドラマ。原作の取材には元検察官の郷原信郎も携わっている。今回の劇場版では主演は木村拓哉が務めるが、出演した二宮和也の演技がこれまた素晴らしく、第43回報知映画賞、第42回日本アカデミー賞で共に助演男優賞を受賞することから、二宮の演技が世に知れ渡った作品の一つとも言える。

[あらすじ]
→東京地検刑事部のエリート検事・最上の下に、彼を尊敬する若手検事・沖野が配属され、早速2人は都内で起きた老夫婦殺害事件の担当をすることに。そこで最上は、被疑者の1人でもある”松倉”という男に過剰に反応。松倉は過去に起きた未解決事件の重要参考人であった。最上はこの事件は松倉の事件だと思い、何としてでも有罪へと道を進ませようとするのだが……。

[レビュー]
・原作未読だが、十分楽しめた。上映時間の限りもあるため多少の説明不足等はあったものの、不穏な空気を維持しながら最後まで走りきった印象。ラストも賛否分かれる内容で、どちらかというと不評の方をよく聞く。最終的には物語はどのような結末を迎えたのか、自分の想像力で養わないといけないが、それがかえって良いようには感じた。しかし置いてけぼり感があるのも否めない。結果的に評価が分かれてしまう結末は、果たして良いのだろうか。

・本作の1番の良いところは、やはり役者の演技だろう。主役の木村拓哉を初めとするキャストの空気の作り方は異様。気持ち悪いレベルでの不穏な空気は、画面越しでも十分伝わる。その世界観に迷い込んだ時、123分なんてあっという間だった。特に、二宮和也の演技は別格。ジャニーズという固定観念は弾き飛ばす程のエグい演技。有名なシーンでもある取り調べのシーンは手に汗握る。今でも思い出すだけで鳥肌が立つレベル。上手かった。

・"正義”とは一体何なのか。最上が持つ、目的の為なら手段を選ばず、どんな荒道でも進む現実的なものが正義なのか。それとも沖野が持つ、法の下で正義を貫くのが純粋な正義なのか。本作は、個々の持つ自分自身が正しいと思う正義がぶつかり合い、交差するため固く重苦しい内容へと変化している。真の”正義”の行方をまるで私たちにも問いているようなラストだった。

👉久々に邦画でしかもしっかりとした内容のあるサスペンスドラマを観たが、邦画もやっぱり良いなと思った。これから様々な作品に出演する二宮和也の強烈な演技を観に、度々戻ってきてしまうかもしれない。
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