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ガーディアンズのトルーパーcomのレビュー・感想・評価

ガーディアンズ(2017年製作の映画)
2.5

#ガーディアンズ
「日本よ、これが露映画だ」のキャッチコピーで、全露No.1ヒット映画として日本にも上陸したスーパーヒーロー映画。
ロシア版X-MENとの触れ込みだったが、トンデモ風味ファンタスティックフォーと言ったほうが正確かも。

3年前にTSUTAYAで借りて観たのですが、当時はプロジェクター持ってなかったので、アマプラで見れるようになってたこともあり再観賞。


【ネタバレ控えめおすすめポイント】キャラクター
主要4人のキャラ立ちは抜群。本作の最大の(唯一の?)魅力。
全体としては割とやっちまった出来栄えの本作ですが、とにかくキャラが立っていて、大きい画面で観るとそれなりに楽しいです。

◆アルスス
天才科学者が遺伝子操作で超怪力の熊人間に(半獣半人)。
アベンジャーズでいうところのハルク+ロケットラクーン的ポジションなクマちゃん。
ビジュアル的インパクトは最高級!登場シーンがかっこよすぎる

◆クセニア
体を透明にすることができる超能力をもつ女性。彼女がドラマ面の中心になっている。
ファンタスティックフォーのインビジブルウーマン的なキャラ。
腹筋バキバキで俳優さんのルックスもいいし、スタントも使ってるのかもしれないけどアクションがキレキレで◎

◆ハン
超素早く動ける、なんなら軽くワープする感じで動く超人剣士。半円状の刀がカッコ良すぎ。
ルックスはウィンターソルジャー時代のバッキー風だけど、戦い方はワンピースのゾロみたいな感じで、高速移動時のエフェクトはX-MENのナイトクローラーっぽい。
序盤の彼のアクションシーンはかなりテンション上がる

◆レア
金属の代わりに石を操れるマグニートーみたいなオジさん。
正直こいつだけちょっと微妙。

◆エレーナ
宝塚の男役みたいなビジュアルの、女版ニック・フューリー。
特にたいしたことはしないが、立ってるだけでそこそこカッコいい美人

◆クラトフ
マッドマックスのキャラ風半裸マッチョの悪役。恥ずかしい格好したハゲなのに、戦闘能力はチート級の怪物



【残念ポイント】
◆話の展開が残念
詳しくはレビュー後半のネタバレゾーンで書きますが、とにかく何から何まで脚本が微妙です。
最高級にキャラ立ちしているメンバーをひたすら無駄遣いする演出の数々に失笑してしまうこと必至。

1つ1つの話の展開が、いちいち唐突というか脈絡ない進み方をするので、見ていて割と混乱します。
言語がロシア語なので、字幕をちゃんと見ていないと耳から話を追えないという要素も相まって、終始今何が起こってるのかよくわからなくなる。

なぜその方法をとるのか、なぜその人物がそうなるのか、の必然性がないので、各人が個性的なキャラである設定が死んでいる場面が多かった。


◆シーンの見せ方が残念
編集が割とひどいと思います。
けっこう感情的になるシーンがきたと思ったら、唐突に余韻もなく次のシーンにバッと切り替わったり、
「はい来ましたー!」的な一番盛り上がる見せ場を長く見せてくれないくせに、主要キャラでもない人物がただしゃべってるだけのシーンは長々ワンカットで映したり色々おかしい。



<以下、ネタバレあり感想>





■アルススさあ...
いちばんおいしいキャラであるクマちゃん。
獣人形態時のCGはなかなかクオリティ高いし、演者も割と男前...なんですが、キャラの魅力が全く活用されていない。

地上最強生物であるヒグマが超人化したキャラときたら、ハルク級のパワー無双を期待するじゃないですか。
でも、コイツ基本すぐやられるんですよ。まず序盤でモブのクローンたちに投げ網で捕獲される。ウソでしょ

で、中盤でパワーアップして全員強くなって迎える第二戦で軽く無双するんですが、クマパワーを使わずにガトリング砲を連射するんですよ。そこは銃に頼っちゃうの...クマである意味ないじゃん...

あと、この手のキャラのお約束的に「オレは今は半獣半人だが、いつか完全に獣になってしまうかもしれない...」っていうわざとらしいフリがあるんですね。

そうきたら観客は、敵も味方もないくらい暴走する最強のクマに進化することを期待するじゃないですか。
で、その時がやってくるのね。うおおおお!って超巨体の完全なクマに変身して殴りかかるの。ラスボスとの一番盛り上がるタイマンバトルで。

その結果、ワンパンで沈むのよね...ウソでしょ...

このワンパンKOがよほどのショックだったのか、クライマックスのGotG1のパクリみたいな4人合体ビームの時にはもはや獣の姿を捨ててるんですよ。

みんなで合体して最強パワーのビームで逆転ダー!っていうシーンで、チーム1の怪力であるはずの彼が、人間の姿なんですよ。
アベンジャーズでいうなら、NY決戦のクライマックスでバナー博士姿で参加してるようなもんですよ。
ウソでしょ


■パワーアップイベント
序盤はメンバー集めして、中盤で敵陣に乗り込むも、負けて挫折を味わってっていう定番の展開の後、本部の人たちが彼らにあった武器を開発してくれてパワーアップするイベントがあります。

パワーアップ自体はワクワクするし大歓迎イベントなんですが、見せ方が酷い。

明らかに素早くなったり/体が光ったり/武器が変わったりetc

パワーアップの仕方自体は絵的にかなり満足のいくクオリティなのに、映画前半より強くなった彼らの能力を、延々と長い尺を使って本部でのトレーニングシーンで見せ続けるんですよ。案山子相手に...

で、いざ敵地に乗り込んでからのアクションシーンはさほどないっていうね。
クマちゃんに至ってはモブを軽く銃殺するくらいでラスボスにはワンパンだしね。いや見せ所おかしいだろっていう。

このへんは『X-MEN/ファーストジェネレーション』(2011)とか良かったよね。
コミックのコマ割みたいな演出で訓練シーンはテンポよくパッパって見せて、実際の能力発揮はクライマックスで各自しっかり見せていた。


■レアさん
石を操って飛ばすとかいうガーディアンズ一地味なレアさん。

前半でラスボスとのタイマンで惨敗するというある意味おいしいイベントがあったこともあり、レアさんのしょっぱい能力は中盤のパワーアップイベントで超覚醒するフリだろうなあ~って思ってたら、石使う能力放棄してムチ使いになるという謎。

しかも、最終決戦でレアさんとラスボスのリベンジタイマンバトルはなしとかウソでしょ!?
レアさんが何もしないんなら、前半のタイマンで負けるのは獣人verのアルススで、ラストはクマ100%になって殴り飛ばすでよかったじゃん。

唯一良かったのは、クセニアと組んで透明&ムチという効果的なコンビ攻撃を見せてくれたことくらいか。



■その他
・オープニングロゴ
「チームの名前は?」→タイトルロゴバーン『 ガ ー デ ィ ア ン ズ 』のオープニングは割と好き。
 ただ、入り方はかっこいいのにロゴが2秒くらいしか出ない謎。もうちょい長くエフェクトつきでロゴをしっかり映してほしかったな。

 たとえば『マイティソー/ラグナロク』(2017)のオープニングロゴの出方とかめちゃくちゃカッコイイもんね。


・冒頭に出てくるAI兵器がスターウォーズのドロイデカみたいな動きするの好き。

・モスクワが壊滅するシーンはけっこうスケール感あって良かった。全体にCG担当はかなり頑張ってるので拍手したいです。

・悪役が人工衛星を乗っ取るために、タワー盗んで使う超展開アホすぎて好き。有名なタワーなのかな?
 日本でいうならスカイツリーを折って盗んで、東京都庁の屋上に突き刺して高いアンテナにする的なノリ

・MCUのシールドみたいな組織の本部の人たち、モブも全員美男美女でほえーってなった。


【スコア】
★2.5で。

キャラだけは立ってるので、冒頭の仲間集めと中盤のパワーアップイベントでの各自のカッコよさげなシーンは大画面で繰り返し観たいです。

あと、クセニアの女優さんのアクションシーンは見応えある。

それ以外は見ててけっこうキツイですね。
宇多丸さんが酷評してた記憶があります。

まあハードル下げて「ロシア映画ある意味スゲエな!」ってネタとして観る程度の価値はあるかなと。

TSUTAYAでよく見かけるジャケ写オチのB級C級クソ映画群の中に混ぜたら、ブッチギリの最上級です。
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