ShinMakita

コールド・キラーのShinMakitaのレビュー・感想・評価

コールド・キラー(2017年製作の映画)
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☆俺基準スコア:2.7
☆Filmarks基準スコア:3.8





オーストリア、ウィーン。トルコ移民女性エズゲ・ドグルオルは、タクシー運転手で生計を立てている。昼はキックボクシングで汗を流し、夜は大抵乗車勤務だ。
ある深夜、帰宅した彼女はトイレの窓から向かいの部屋の惨殺死体を発見してしまう。暗い部屋には男がおり、目が合ったと感じ慌てて電気を消すが、不安は拭えない。警察に通報し、目撃者として保護を求めるエズゲだが、移民で公妨の前科のある彼女に刑事は冷たかった。しばらく部屋を空け、他所で寝泊まりしようと考えたが、親戚の親友ラニャが自分と間違えられて殺されてしまい…


「コールド・キラー」



先日観た「ヒンターラント」の監督ステファン・ルツォビツキーの過去作。話は単純、殺人鬼が目撃者を追い回すってだけのプロットなんだけど、キャラクターの造形が素晴らしくて見入ってしまった一本。まず主人公のエズゲ。家族から距離を置き、孤独で口下手。キックボクシングの名選手なんだけど、多分彼女が格闘技にのめり込んだのは、父の性的虐待が原因だろう。肉体的には男以上のスキル。でも心は弱く母性が強いというのが魅力的。認知症の親を抱える刑事シュタイナーや浮気を繰り返す親友ラニャ、など脇キャラの描写も良き。女タクシードライバーVS殺人鬼という構図から名取裕子の「夜のストレンジャー 恐怖」を思い出させる作品。そして、移民・宗教・女性差別の問題提起もしてくれる作品。オススメ。
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