きまぐれ熊

ライオン・キングのきまぐれ熊のレビュー・感想・評価

ライオン・キング(2019年製作の映画)
2.9
実写版アラジンが良かったから期待したんだけど、ダメみたいですね...
映像クオリティは低くないので、動物を実写クオリティのCGで演技させるってコンセプト自体に問題があったとしか思えない

今見てもオリジナルのアニメの方がずっと面白い

CGのクオリティはもちろん凄い
モデリングもライティングも凄まじいので確かに実写に見える
でも動きが完璧すぎて本物の動物に見えないんだよね〜
高性能なロボとかに見えちゃう
なんか動物って歩き一つとっても直線的じゃなくて遊びとかブレあるじゃん?そういうのが全くない
結局視聴者側の感覚としてはCGアニメにしか見えない

アニメにしか見えない実写、というアンバランスさはいくつかの弊害を生んでる
まず、映像の情報量が多いのに記号化がうまく出来てない
そのせいでキャラの見分けがつきにくい
メスライオンとハイエナが暗闇で混戦するとどっちがどっちか分からない
アニメだとまず色から大きく違う

次に、リアルな動作にこだわったせいか動きのメリハリが付いてない
どのキャラのどの所作に注目すればいいかが終始分かりずらい
本質はアニメなのに動きのフォーカスが定まってないのよ

そんな感じで、アニメの記号化するメリットを生かしきれず、かといって実在感のある豊富な情報量を提示できている訳でもない
アニメの方がよっぽど観やすいし楽しい

ムダな情報量の増加ってのが上映時間にも現れていて、オリジナルより30分も長いんだよな
その割に追いかけるストーリーは同じ
それどころかシンバが再起するシーンの自省するセリフを削っちゃったもんで、常に周囲に動かされる王様になってしまってカタルシスもない
本人から出てきた言葉が全然ないんだよね〜
FF15のノクティスを彷彿とさせるわ
その上、ナラをプリンセスとして動かそうと欲張った形跡があるのでクライマックスの見所が大幅にブレた
その弊害でティモン&プンバァの心強さとか、頼り甲斐もスポイルされちゃっててどこで熱くなればいいのか分からないレベル

アラジンのジャスミン姫はテーマ性を追加して上手く化けたけど、ナラはコンセプトが思いつかなかったんやろな〜って感じ

実写とアニメのいいとこ取りが見れるかと思って期待したんだけどちょっと残念
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