垂直落下式サミング

触手の垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

触手(2016年製作の映画)
3.5
ヴェネチア国際映画祭で銀獅子賞を獲得した触手モノ。ぐちゃどろなエロを期待したけれど、さすがは芸術映画の祭典で認められたアート系といったところで、エロエロモンスターパニックよりも、性愛によって堕落し破滅していく人間たちのドラマや映像美のほうに比重がおかれている。
真っ白い霧の立ち込める草っ原を進んでいく女性の背中を追いかけていくところとか、とても綺麗な情景でけっこうドキドキする。ショットで魅せるオトナの触手モノってわけ。
主人公は、子供の育児に非協力的な旦那と姑にうんざりしつつも、行動をおこせない。その旦那は、奥さんの弟(ゲイ)との同性愛カンケイのバイセクシャル不倫野郎。はたまた、弟に言い寄ってくるのは不気味な山小屋に入り浸り触手プレイにゾッコンなアプノーマル系女子。ここに、ダブルで不貞な痴情のもつれの三角関係が完成。
お気に入りなのは、カメラが野犬を追いかけていくと、森の中の穴ぼこでいろんな種類の生き物が交尾してるところ。自分の遺伝子のコピーを作るってのは、生物の至上命題なわけですから。地球規模でみたら無数の営みが日々おこなわれているのだから、ヒトがセックスをしたしないなんて、そんなに特別なことじゃないんだって、そういうことだろうか?
快楽と性愛の象徴である触手は、セックスとアガペーだけでなく生物としての根源的な欲求をも内包したメタファーなのだ的な偉い評論家先生のオゲイジュツな読み解きがなければ、単なる見せ場の少ないオバケ映画なんだけどね。こんなもん言ったもん勝ちだと思うけど…。
僕にとっての見せ場は後半。待ちに待った高品質触手プレイの全貌があらわとなる。バリエロい。詩的な読み解きなんぞ知らん!ワイはこれをみるためにサブスク契約したんや!女の身体に絡みつき這いまわるそのいやらしさは期待以上だったけれど、もっとクリーチャーの姿をよくみたかったな。ラテンアメリカの触手はお上品な和姦。メイドインジャパンのエロ漫画産エグ触手もぜひ御賞味あれ。卵とか植えつけてくるちょっと引くのタイプのやつとかな。