Ryan

善惡の刃のRyanのレビュー・感想・評価

善惡の刃(2016年製作の映画)
3.7
反逆の韓国ノワール


ストーリー
益山市でタクシー運転手が殺害される事件が起き、ナイフを所持していた第一発見者で15歳の少年ヒョヌが逮捕される。有罪判決を受けた彼は、10年の刑期を終えて出所するが、被害者遺族への賠償金の支払いに悩まされ人生は激変する。


主演 チョン・ウ
共演 カン・ハヌル


2000年に10代の少年がタクシー運転手殺害の濡れ衣を着せられ、10年間刑務所で過ごした「益山殺人事件」を題材にした作品。

とても良い。
冤罪事件を元にしているので説得力と深みがあり、サスペンスでありながらキチンとエンターテイメントとしても描けている。

この作品の肝は「理不尽」な暴力。
法が機能していない発展途上国としての韓国の側面が妙にリアルで希望を感じさせない作りがまた怖い。
劇中のセリフに「若者の未来に希望がない国」というものがあるが、そこで不意に学歴社会や受験戦争、落ちこぼれがヤクザとなって社会問題となっている現韓国という国を思い出す。

豊かではないから悪いのではなく、貧しいから心も荒んでいる。その地獄でどれだけ耐えられるか?という試練に近いものを感じた。

終盤はエンターテイメント性が強かったが、ぶっ飛ばして最悪な結末を観たかった気もする。
カンハヌルが沼。彼の演技は光るものがある。目が離せない。絶望の中でも光を見出すあの"目"は格別。
チョンウとの相性も抜群である。
Ryan

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