通常版(87分版)との違いについてです。
ウィキペディアによると、もともと120分だったものを監督自らがカットしたのが99分のディレクターズカット版(本版)。更に興収を考えた末にロジャーコーマン・ブリティッシュライオン社が87分にまでカットしたのが一般的に流通している通常版らしい。
120分→99分版(本版)でカットされたのは本土での捜査シーンらしく、ニコケイのリメイク版にそのようなシーンがあることを考えると、リメイク版は紛失してしまった120分のオリジナルを再現しようという気概があったのかも…。
本版と87分版との大きな違いは、プロローグに挿入される本土でのシーン。87分版はいきなり飛行機でサマーアイル島へと向かうシーンからスタートするのに対し、本版では、ハウイーが本土で部下とやり取りをするシーンが7分ほどあり、その後にサマーアイル島へと出発する。
「JEASUS SAVES」と書かれた落書きをハウイーが部下に対して「消しておけ」と命令するという、今後の展開を暗示するかのような意味深なシーン、サマーアイル島からの差出人不明の捜査依頼を受け取るシーンが挿入されており、中でも部下が童貞ハウイーを「彼が興味あるのは聖母マリアだ」とか「婚約者のメアリーが可哀想…結婚したらベッドより教会で膝をつく時間の方が長くなる」とか言ってバカにしまくってるのが笑える🤣ハウイーさん、サマーアイル島だけではなく本土でも異端だった!!
その後で大きなところは、ハウイーがパブに泊まった初日の晩に、サマーアイル卿がウィローにアッシュブキャナンという青年を紹介する窓越しのやりとりが87分版でいう17分ごろに挿入されており、その後にカタツムリの交尾映像を流しながら、動物と比較してキリスト教をディスるサマーアイル卿のセリフが長々と続く。
そして、87分版ではここでハウイーの教会演説シーン(本版ではプロローグで挿入されてる)が回想的に入り、それに続く全裸ウィローによるハウイー誘惑のケツフリダンスを悶々と耐え忍ぶハウイーのアホみたいなシーンは本版ではここにはなく、52分ごろ(町中を駆け回ってローワンを探す前夜)となっている。
あとは細々した違いのみ。特に必要と思える情報があるわけでもなく、むしろ本版でのウィローの誘惑のタイミングは違和感しかないので、87分版の方が優れているように感じた。やはりコーマンの采配は凄い!
なんで今こんなん見たのかというと『ファイナルカット版』がやっとこちらでも公開になったから👍『ファイナルカット版』は94分で、87分版より少し長く本版より少し短いという良くわかんないバージョンだけど、記憶薄れないうちに劇場行こうと思ってます!
以下、備忘録がてら細々とした違い。分数は87分版基準。思いっきりネタバレだから、見たことない方はスルー推奨です。
・13分ごろ
パブでウィローの歌をミュージカル風に歌うシーンで数カット多く挿入されている。
・15分ごろ
去年までの収穫祭の写真を見る→ウィローが食事を運んでくる間にパブオーナーの意味ありげな俯きカットがある。
・17分ごろ
上に書いたアッシュブキャナン紹介前後でパブの人たちの歌シーンがある。
87分版のウィロー誘惑後の次の朝、ウィローが起こしに来て、婚約してるから誘惑断った的な会話は本版では無し。その代わりに街に出て学校の場所を聞くシーンがある。
・32分ごろ
ベッカーナンの墓へと至るシーンでハウイーの歩くシーンが少し長い。
・34分ごろ
ローワンの墓守がハウイーを嘲笑いながら去っていくところで、ハウイーが少し墓の周りを歩くシーンがある。
・35分ごろ
死亡証明書を取りに役所へ向かう直前に医師にローワンの死因を聞くシーンがある。医師が答える死因は焼死。
・47分ごろ
墓からウサギ発見後、サマーアイル卿たちとの会話前に何だかよくわかんないものを映すシーン。
・52分ごろ
写真現像室で、ローワンが生贄だと気づくまでにサマーアイル卿との会話等の回想シーンがある。
ここでウィロー誘惑シーンが入る。
・1時間1分ごろ
ローワン捜索のために島中を駆け巡ってる時、床屋のシーンと、階段から転げ落ちて着替え中の女子覗いちゃうシーンがある。
・1時間23分ごろ
ウィッカーマン内で、真理が枯れたから凶作…みたいなハウイーの発言の前にハウイーの訴えが2、3ある。
あと、87分版、本版とも微妙にカットのタイミングがズレる箇所が何箇所かあった。