くろねこヤマ子

冬の旅のくろねこヤマ子のレビュー・感想・評価

冬の旅(1985年製作の映画)
4.5
さすがのヴァルダさま。
救いなどない現実世界を
ガッツリと。

働きたくない縛られたくない
自由でいたいと
ひとり旅をする若い女が、
死に至るまで堕ちていく姿を
擬似ドキュメンタリーとして追う物語。

彼女のバックグラウンドの説明はなく、
ユーモアもほとんどなく、
汚なさや冷たさがだけが画面に増していく。
人生が冷え、
腐敗してゆく様にゾワゾワする。

激しい言葉はなくとも
ショッキングな感覚を受ける。
足首に巻きついた赤い布が
ブーツの中布と気づいた時なんかは
終わりというか絶望を感じた。(そこ?)

不思議なことに
出てくる男たちは彼女を誹謗し、
出てきた女たちは彼女を羨望する。
是もまたリアル。
ヴァルダ監督の「やり方」には
毎回唸らされる。

その先に光はないけれど
女だってやれるんだを感じつつも
噛みしめて苦くなる良作。
素晴らしいと思う。

旦那っちのドゥミと全然違うのよー。
ドゥミもヴァルダも
どっちも好きだけどね!(吠