天豆てんまめ

ウィンストン・チャーチル /ヒトラーから世界を救った男の天豆てんまめのレビュー・感想・評価

4.0
ジョー・ライト監督の陰影豊かな世界観が閉塞感と圧迫感に満ちた戦時中に連れて行ってくれる。

そして、言わずもがな、チャーチル役の圧巻のゲイリー・オールドマンの演技。今までの彼の役柄と彼の存在が吹っ飛び、もうそこには存在感が半端ないチャーチルだけがそこにいる。

ヒトラーに屈するか闘うか、ぎりぎりの選択に迫られる彼の苦渋の表情と、迫力と説得力に満ちた名スピーチに心揺さぶられる。

見事アカデミー賞を受賞した辻さんのメイクで彼の実在が紛れもなくリアルなものとなった。

この作品はただただ、チャーチル=ゲイリー・オールドマンの、、いや、ウィンストン・チャーチルの魂の彷徨を身体全身で2時間ずっと受け止める覚悟の映画だ。

勇気とは何か、決断とは何か、覚悟とは何か、恐怖に打ち克つ心の奥底の正体のようなものを感じさせてくれて感動した。  

自分自身が心に抱く恐れをじっと見つめて、それをギュッと握りつぶすことは人間にはできる。そしてその勇気を伝播させることも。

彼が最後の決断に迷った時、地下鉄で市民の想いと触れるシーンも良かった。