torakoa

アップルとわたしのカラフルな世界のtorakoaのレビュー・感想・評価

1.5
馬術競技をやっていた女子高生が落馬の影響で視力を失い日常生活も一人でままならなくなって腐ってたところ、盲導犬ならぬ盲導馬と出会う話。
と思ったら、そうでもない。盲導犬を利用できる年齢に達していないが特別に云々、馬が好きで盲導犬に興味がない、じゃあこれでどうだと所長が個人的にどこかからミニチュアホースだかいう小型の馬を用意してきて、主人公は気に入って親に一言もなく家に連れ帰るという何だそりゃな展開。
割とぐでっと横になってることの多い、ほぼ単なるペットなアップルとの交流が描かれる……というほどでもない。途中から存在を忘れそうになる。出オチかい。

センターで出会った毒親持ちの生まれながらに全盲の少年との交流、親身に考えてくれる優しい両親がいる幸せに気づかされたりほのかな恋愛模様が描かれたりして、忘れた頃にアップルが大変!みたいな騒ぎがあって、何だそりゃあああなオチで収まって何となくハッピーハッピーみたいな感じで終わった。
ぬるくて薄くて浅くて何がしたかったんだかよくわからない。ぬるすぎて胸焼けしてくるような作品だった。

両親がたいへん善良で、そこは微笑ましい気はするし、話わかるいい母ちゃんだしかわいくていい父ちゃんだと思う。母ちゃんは『バタフライ・エフェクト』ヒロインの人。
話が嘘臭いのも予定調和すぎるのとかご都合とかもある程度しょうがないとは思う。けど、とことん主人公に都合よく全部盛りで来られるとさすがにげんなりする。その高さじゃ越えられないだろ、からの成功とか映像の繋ぎ方もあんまり。見せ方がうまくない。

悪人が出てこない話も優しい世界も好きなんだ(『ザ・マペッツ』とか『ラースと、その女性』とか『マイビューティフルガーデン』とかもそうかなー)けど、これはダメだった。
多分本当に児童向けで、幸せな仲良し親子が鑑賞して、目が見えなくなるって大変なことなんだね僕または私は幸せなんだなあとでも思って観終えるための作品で、それ以上のものはないんだと思う。

吹替入り。
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