天豆てんまめ

愛の断片の天豆てんまめのレビュー・感想・評価

愛の断片(2016年製作の映画)
2.9
秋の夜長の南米流エロスには、もちろん侘び寂びはない。政情不安定で路上爆発からのベッドシーン。どこでも唐突に始まる。

グラマラスラテン美女と大人しい作曲家。過去に名誉ある受賞をしているが物置にトロフィを放置し「ウディアレンなんてオスカー像を受け取ってない」とか母親に呟いてるちょっとうざい男 笑 そんな彼は彼女に迫られても、イマイチ元気にならない。すると彼女は元カレ達との情事を語り出す。その回想がオムニバス的。そして予想通り、彼は嫉妬と妄想で元気になる 笑 主演のラテン美女がチャーミング&セクシーなのだけど、なぜ、この陰々滅々な男に惚れているかわからない。

最初、南米にも草食系いるのか〜、と思ったけど、、嫉妬と妄想を糧にピアノの旋律を紡ぎ出す。映像もなかなか綺麗。モントリオール世界映画賞でも賞をとっているらしい。でも最後のとってつけたような落ちは何だかな〜。

性的エネルギーとアートは切っても切り離せないのはある真理かもしれない。故深作欣二監督が、役に立たなくなるから、抗がん剤は飲まない、と言い続けたらしい。命と引き換えにするほど、彼にとっては重要なことだったのかもしれない。

思えば、私はその昔、カンヌ映画祭で日本人で唯一2度パルムドールを取っている故・今村昌平監督のお別れ会に参加して驚いたことがある。由緒正しきとあるホテルの会場で監督の座右の銘がでかでかと天井から床まであるような巨大ボードに掲示されていた。

そこに直筆文字で書かれていた言葉に驚愕した。

「すべて、、、がかたいうちだぞ 今村昌平」
(私にはフルフレーズ書けません、、ググってください)

憂いや哀しみが、、、消し飛んだ 笑

やっぱり稀代の巨匠は遺す言葉も違います。