地球外生命体

ル・コルビュジエとアイリーン 追憶のヴィラの地球外生命体のレビュー・感想・評価

3.0
近代建築の巨匠ル・コルビュジエ。彼には生涯で唯一、その才能を羨んだと言われる女性がいた。彼女の名はル・コルビュジエとアイリーン。

2009年にクリスティーズで行われた『イヴ・サンローラン&ピエール・ベルジェ・コレクション 世紀のオークション』において当時史上最高額(約28億円)で落札された椅子を手掛けたことでも知られるアイルランド出身のデザイナー、建築家だ。

南仏の海辺に立つ彼女の別荘〈E.1027〉はモダニズム建築史上に残る傑作とされるが、そこは長くル・コルビュジエの作とされ、アイリーンの存在は歴史の影に覆い隠されてきた。そこには光り輝く才能を発揮する彼女に対する、ル・コルビュジエの密やかな嫉妬と欲望が絡まりあう、知られざる愛憎のドラマがあった。

時代を超え、後世に影響を与え続ける二人のアーティストの人生を、実際の建築や家具などを用いながら眩しい映像美でつづった本作。二人の天才建築家の惹かれながらも相克する関係を美しく描く、極上のドラマとなっている。

1920年代、のちの近代建築の巨匠ル・コルビュジエは、気鋭の家具デザイナーとして活躍していたル・コルビュジエとアイリーンに出会う。彼女は恋人である建築家兼、評論家のジャン・バドヴィッチとコンビを組み、建築デビュー作である海辺のヴィラ〈E.1027〉を手掛けていた。陽光煌めく南フランスのカップ・マルタンに完成したその家はル・コルビュジエが提唱してきた「近代建築の5原則」を具現化し、モダニズムの記念碑といえる完成度の高い傑作として、生みだされた。当初はアイリーンに惹かれ絶賛していたル・コルビュジエだが、称賛の想いは徐々に嫉妬へと変化していく…。

グレイの恋人の一人で、当時フランスで名を馳せた歌手ダミアをアラニス・モリセットが演じている。
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